薬局ビジョンでは、患者本位の医薬分業の実現に向け、2025年までに全ての薬局を「かかりつけ薬局」に再編することを目指すと明記し、かかりつけ薬局の機能として、▽患者の服薬情報の一元管理▽相談や調剤への24時間対応・在宅対応▽医療機関との連携――を挙げた。
また、10年後の35年までには、いわゆる「門前薬局」について、建て替え時期などを契機に患者の日常生活圏への移行を促している。
中垣氏は、全国に約5万7000軒ある薬局について「地域の重要なインフラなので、こうした資源を十分に活用していかなければならないと思っている」とした。
薬局が地域で役割を果たす上で、「最も重要になるのは医療機関との関係だと思う」としつつも、介護施設や訪問看護ステーション、行政などとの連携の重要性も示し、「顔が見える存在になってくれればいい。やる気のある薬剤師、薬局が報われるような形にしていきたい」との考えを示した。
薬局ビジョンの実現に向け、最も重要なことは「薬局・薬剤師のやる気だと思う」とし、「これまでと同じことをやっていて、生き残っていけるのかどうかということ。地域の中で果たす役割への決意が必要になってくる」と述べた。
人口が減少に転じていく中で、「セルフメディケーションなど、これまでとは違った、少し幅を持ったことに取り組んでいく気概と能力が必要」ともした。
薬局ビジョンが促している門前薬局の地域移転については、「薬局をどこで開くかは、基本的には自由。強制的に移せと言うことはできない」としながらも、「住み慣れた地域で老後まで生活していこうという一つの大きな方向性がある中で、今の薬局の配置状況でいいのかということはある。それは、薬局の開設者が考えてやっていくことだと思う」と述べた。
医薬品の審査については、医薬品医療機器総合機構の努力もあり、審査ラグがほぼゼロになったことを評価し、「日本発の医薬品が出やすい形にすることが大事」とし、そのための取り組みを進めていきたい考えを示した。
この日に初めて「先駆け審査指定制度」に指定された6品目については、「なるべく早く製品化できるようにしていきたい」と意欲を示した。