Toll経路活性化に必須の新たな遺伝子を発見
東北大学は10月28日、ショウジョウバエの自然免疫経路であるToll(トール)経路の新規の細胞内シグナル伝達因子「Sherpa」(シェルパ)の同定に成功したと発表した。
画像はリリースより
この研究は、同大大学院薬学研究科の倉石貴透元助教(現:慶應義塾大学医学部微生物学・免疫学教室専任講師)と倉田祥一朗教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Science Signaling」電子版に10月27日付で掲載されている。
すべての多細胞生物は、細菌やウイルスなどの感染から身を守るため、自然免疫というメカニズムを備えている。ショウジョウバエでは、カビなどの感染時にToll経路が活性化することで、この自然免疫が発動する。しかし、細胞内でToll経路が活性化される仕組みについては、十分に解明されていなかった。
昆虫モデルから見えた新たな免疫制御メカニズム
研究グループは、Toll経路の解析に適した培養細胞を見いだし、ショウジョウバエの全遺伝子を対象に網羅的に探索。Toll経路活性化に必須の新たな遺伝子「Sherpa」を見いだしたという。
ヒトやマウスにもSherpaと類似した遺伝子が存在しているが、免疫応答の発動における生理学的意義は明確になっていない。今回の研究成果をもとに、ヒトやマウスのSherpa遺伝子による、自然免疫系の新たな活性化メカニズムが明らかになることが期待される。
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