気圧や気温の変化がホルモン分泌や循環器系に影響か
岡山大学は10月23日、同大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)予防歯科学分野の森田学教授、竹内倫子助教らの研究グループが、慢性歯周炎が急性化するのは気象変化後1~3日であることを、時系列分析で突き止めたと発表した。
40歳以上の日本人における歯周病罹患率は8割を超えていると言われており、歯の喪失原因の約4割を占める。慢性歯周炎は、何らかの原因で急性化すると、歯の周囲の組織が急速に進むため、急性期の発生を予測することは歯の保存のためにも重要とされてきた。
研究グループは、同大学病院予防歯科を受診している「安定期にある慢性歯周炎患者」延べ2万人を調査し、慢性歯周炎の急性期の発生と気象状態との関連を分析。慢性歯周炎の急性期症状を発症した症例(発症率1.87%)のうち、歯科関連の要因が発症要因とは考えにくいケースに注目した。
その結果、「気圧低下の毎時変化が大きい」「気温上昇の毎時変化が大きい」といった気象変化があった日の1~3日後に急性期症状を発生しやすいことを突き止めた。メカニズムはまだ明らかにされていないが、気圧や気温の変化がホルモン分泌や循環器系に影響し、慢性歯周炎の急性期の発生に関与した可能性が考えられるという。
今後、急性期の慢性歯周炎の発生予報の可能に期待も
血圧や心筋梗塞、自殺やぜんそくの他、うつ病や三叉神経痛、リウマチなどは、気圧変動に関連があることが報告されている。慢性歯周炎の急性期の発生は歯周病原細菌の感染と宿主の応答に関係するため、今回の研究成果は、細菌と宿主に気象変化が影響する可能性を示したことになる。
同研究グループは、気圧低下や気温上昇の毎時変化がどの程度あれば慢性歯周炎の急性期症状が発生するのかなど、さらなる研究を重ねることで、慢性歯周炎の急性期の発生予報を可能にしていきたいとしている。
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・岡山大学 プレスリリース