■必要な社会保障は実行
厚生労働省の二川一男事務次官は23日、就任後初めて専門紙と共同会見し、安倍政権が打ち出した「一億総活躍」社会に向けた新3本の矢に言及。1本目の矢である強い経済に向け、「これまでの3本の矢がなくなったとは思っていない。成長戦略の中で、重要な産業に位置づけられた医薬品・医療機器産業のイノベーションに資する政策は、引き続いて進めていくということ」との考えを示した。
二川次官は、就任に当たって、「課題山積の中で大変というのが正直な感想。その上、職員の不祥事が発生し、政策的な課題が多い中、省内の管理についても努力していかなければならない」と気を引き締めつつ、「チームワークを良くして、局の縦割りにならないように施策を進めていくべきだと思っている。もう一つは、現場感覚を持ち、現場の意見をよく聞いて、職員が一丸となって国民のニーズに適うような施策を進めていきたい」と抱負を語った。
安倍政権の打ち出す「一億総活躍」社会の実現に向けては、厚労省に本部を立ち上げ、「全産業の生産性革命実現チーム」「希望出生率1.8実現チーム」「介護離職ゼロ実現チーム」「生涯現役社会実現チーム」を設置したことを説明。「かなり厚労省の行政に関わる部分が多い。これまでの施策をさらに加速、充実させていくということだと思う」との認識を示した。
その上で、新3本の矢の1本目の矢である強い経済に向けては、「厚労省の所管産業のイノベーションに資するような施策は、引き続き進めていくということ」との認識を示し、成長戦略に位置づけられた医薬品・医療機器産業の振興策を継続していく方針を改めて強調した。
さらに、骨太方針で社会保障関係費の自然増を3年で1.5兆円抑制する方針が明記されたことについては、「政府の方針であり、予算編成の過程において、どう努力していくかということだと思うが、歳出を一律に削減することではないと読める。必要な施策をやっていく中で効率化を進めるということなので、われわれとしては、地域包括ケアシステムの構築をはじめ、必要な社会保障を手当てしていくことは当然の前提と思っている」との考えを述べた。