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腎動脈閉塞症合併の難治性心不全患者、ステント治療により心不全症状が改善-国循

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2015年10月23日 PM02:00

難治性心不全の治療として腎動脈閉塞のカテーテル治療を実施

国立循環器病研究センターは10月21日、同センター心臓血管内科(血管科)の河原田修身医長らのグループが、腎動脈閉塞症を合併している難治性心不全患者に対し、腎動脈閉塞症のカテーテル治療(ステント治療)を行い、速やかに心不全を改善させることに成功したと発表した。この成果は、ヨーロッパ心臓病学会の心不全専門誌「ESC Heart Failure」オンライン版に10月20日付で掲載されている。


画像はリリースより

心不全患者の増加が世界的に指摘されている中、心不全患者の約10%程度に腎動脈の動脈硬化による狭窄や閉塞を合併することが報告されている。腎臓は血圧のコントロールや体の水分や老廃物の排泄に関与しているため、腎動脈の狭窄や閉塞によってこれらの調節が困難となり、結果的に心臓へ負担をかけ心不全発作を助長する。

腎動脈が狭窄の段階であればステント治療が一般的に行われてきたが、腎動脈が完全に閉塞した患者ではステント治療も技術的に困難と考えられていた。また腎動脈バイパス術という選択肢もあるが、心臓を含めた全身への負担が大きく、一般的に行われていなかった。

しかし、近年のカテーテル治療の進歩により、腎動脈が閉塞した患者に対してもカテーテル治療が行えるようになってきた。 腎動脈閉塞のステント治療はこれまで世界で7例の報告があるが、すべて高血圧や腎不全の改善を目的としたものだった。今回研究グループは、難治性心不全の治療として腎動脈閉塞のカテーテル治療を実施した。

腎動脈閉塞症合併心不全患者へ新たな治療の選択肢提示が可能に

呼吸困難の症状を繰り返し、薬物療法にも抵抗性の心不全のために入院していた60代女性が、右腎動脈完全閉塞を合併していることが判明。心機能は保たれている一方で心不全薬からの離脱が困難であることから、心臓以外の因子、特に右腎動脈閉塞が血圧・体液量調節に悪影響を及ぼし心不全増悪に強く関与していると考えられたという。

右腎に退廃はなく、閉塞より末梢の血流も確認されたため、この患者に対し、近年急速に進歩しているガイドワイヤーや血管内手技を用いることで閉塞していた腎動脈を再開通させるステント治療を実施。その結果、腎動脈を開大した直後から尿量が十分に得られるようになり、心不全は速やかに改善した。治療後4日目に退院可能となり、現在まで9か月間心不全発作なく経過しているという。

今回の症例から、難治性心不全患者においても腎動脈の動脈硬化の合併を評価することの重要性が示唆された。また、薬物治療が奏効しない場合には、腎動脈の閉塞した重症患者に対してもステント治療という新たな治療の選択肢を提供していきたいとしている。

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