独立データモニタリング委員会の勧告を受け入れ
米国のイーライリリー・アンド・カンパニーとACCELERATE試験の学術実行委員会は10月12日、高リスク動脈硬化性心血管疾患の治験薬「evacetrapib」について、効果不十分のため第3相試験を終了させることという独立データモニタリング委員会の勧告を受け入れたと発表した。これによりイーライリリーは、evacetrapibの開発を中止し、同プログラムにおけるほかの試験も終了するという。
evacetrapibは、コレステリルエステル転送タンパク(CETP)を阻害してHDLを増加、LDL・VLDLを減少させるとするCETP阻害薬。HDLのコレステロール逆転送作用により心血管障害の予防に寄与すると考えられていた。
ACCELERATE試験は、高リスク動脈硬化性心血管疾患患者において、evacetrapibの有効性と安全性を評価するために設計された試験。主要な第3相試験(心血管イベントリスクを有する患者におけるevacetrapibによるコレステリルエステル転送タンパク質阻害の臨床効果の評価)は、多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験として、37か国540施設で12,095名の患者を対象に計画された。主要評価項目は、複合心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、冠動脈再建または不安定狭心症のための入院)が最初に発生するまでの期間だった。
試験結果を解析し、今後学会で発表予定
独立データモニタリング委員会の勧告は、これまでの試験結果に関する定期的データ評価に基づき、同試験が主要評価項目を達成する見込みが低いという結論に達したことによるもの。今回の試験中止は、安全性にかかわる結果によるものではないという。さらなる解析を重ねたうえで、試験結果を今後学会で発表する予定としている。
イーライリリーのシニア・バイスプレジデントでバイオ医薬事業部プレジデントのディヴィッド・リックス氏は、「evacetrapibが高リスク心血管疾患の患者さんに対する治療に進展をもたらすと期待していただけに、今回の結果は大変残念でなりません。この試験を適切に終了させるために治験責任医師らと協力して取り組んでまいります」と述べている。
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・日本イーライリリー株式会社 プレスリリース