■厚労省が次期改定で
厚生労働省は14日、DPC病院における入院患者の持参薬の取り扱いについて、2016年度診療報酬改定でも引き続き原則禁止する方針を、中央社会保険医療協議会のDPC評価分科会に示した。特別な理由がある場合は使用できるが、医療資源投入量のデータを歪める病院や担当医の方針等の理由では、持参薬の使用を認めないこととした。次回改定以降、持参薬を使った場合には、使用量も含めたデータを入力することも決めた。
持参薬は、14年度診療報酬改定で特別な理由がない限り、使用できないことになった。同分科会は、新たなルールの導入から1年が経過したことから、16年度改定に向け、DPC病院における持参薬の現場での運用を把握するため調査を行った。
その結果、持参薬は多くの医療機関で使用されており、その使用頻度は医療機関ごとに大きく異なっていたことが分かった。14年度改定後も入院の契機となる傷病に関する持参薬が6割の医療機関で使われていたことが判明。持参薬が使われた理由は、担当医の要請、病院の方針、患者の要望だった。
確認された持参薬については、ほぼ全ての医療機関で何らかの形式により記録されており、持参薬の日々の使用量も6割以上の医療機関で何らかの形式で記録されていることが明らかになった。
これらの調査結果を踏まえ、持参薬禁止の原則に対しては理解が示されている一方で、現場の運用上は全面的に持参薬を院内処方へ切り替えることは困難との意見が見られた。持参薬の使用割合は医療機関ごとにバラツキがあり、施設間で負担に差が生じている現状も明らかになった。
厚労省は、持参薬が使われた理由に担当医、病院の方針が挙げられたことについて、診断群分類点数表の基礎となる医療資源投入量のデータが歪められる構造は望ましくないとして、次期改定では、入院の契機となる傷病に関する持参薬使用は引き続き原則禁止とすると共に、病院や担当医の方針という理由でも持参薬の使用を認めないとする方針を示した。
また、次期改定以降、持参薬を使った場合には、入院中の使用量を含めたデータ入力を求めることとし、18年度以降の改定では、そのデータをもとに持参薬の取り扱いを議論していく方向性とした。