勤務医の約3割「保険が適用されなかったケースがある」
国内で販売されている医療用医薬品は従来から小児への適応を有するものが少なく、臨床現場では適応外処方が不可避な状況となっている。厚生労働省でも2010年2月に「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を設置し、この点での内外格差などの解消に取り組んでいるが、小児では適応外処方は常態化しているのが実態だ。
画像はリリースより
このほどヘルスケア専門市場調査会社のアンテリオは、小児科医へのアンケートから7割強の小児科医が適応外処方に経験を有し、HPの医師ほどその経験が多く、使用時の情報源としてはHP医師が国内外のガイドライン・文献・学会、GP医師では製薬企業のMRの割合が高いとする調査結果をまとめた。
調査は全国の小児科医を対象にインターネットを用いた同社Quick調査サービスで8月末にアンケート調査を行い、102人(HP医師67人、GP医師35人)から回答を得た。
その結果、最近1年間で小児に対する医薬品の適応外処方を経験していた医師は、HPでは78%、GPでは57%で、全体では71%。適応外処方時の最終的な保険適応に関しては、「保険が適用されなかったケースがある」がHPで28%、GPで17%、「保険が適用されなかったケースはない」がHPで49%、GPで40%だった。
多くのケースで処方医個人の判断に依存か
小児での適応外処方に関する院内外でのルールの有無について、有と回答したのはHPが33%、GPが14%にとどまり、実態として多くのケースで処方医個人の判断に依存している可能性が示唆された。
適応外処方判断時に最も利用頻度が多い情報源は、HPでは「国内のガイドライン・文献・学会」が30%と最多で、これ以外では「他の医師」が21%、「海外のガイドライン・文献・学会」が16%、「メーカーMR」が15%、「薬剤師」が6%。GPでは「メーカーMR」が26%、「他の医師」が23%、「国内のガイドライン・文献・学会」と「書籍」が各11%、「過去の処方記録」が9%。
一方、回答医師が小児科領域で好印象を持っている製薬企業・医療機器メーカーに関して自由回答を求めたところ、トップ3はGSK、MSD、ファイザーの順で、いずれも小児向けのワクチンを有する企業が上位にランクインした。
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・株式会社アンテリオ ニュースリリース