■厚労研究で大規模調査
一般用医薬品の購入経路を調べたところ、インターネット販売で購入している国民は3.8%だったことが、厚生労働省研究班「ネット販売等における一般用医薬品の購入販売実態に係る調査研究」(代表:中尾裕之宮崎県立看護大学教授)の調査で明らかになった。大多数は薬局やドラッグストア等の店舗で一般薬を購入しており、全体的にネット販売の割合は低かった。ただ、店舗で薬剤師だけが販売できる要指導医薬品を取り揃えている保険薬局は4割に満たず、ドラッグストアより少ない実態も浮かび上がった。
調査は、ネット利用頻度によるバイアス(偏り)を回避するため、全国の住民基本台帳を用いて、都市部と郊外部の市町村から無作為抽出した20歳以上の5000人を対象に、自記式調査票を用いた郵送法で実施したもの。回収率は40.4%だった。
その結果、一般薬をネット販売で購入している人は全体の3.8%だった。性別と年齢層を見ると、男性では30歳代が最も多く、女性は40歳代が最も多かった。一般薬の中で最もネットでの購入割合が高かったのは、育毛剤で12.8%、次いでビタミン剤が9.0%となった。かぜ薬、目薬、痛み止め、咳止め、目薬などは、ネット購入割合が1%に満たなかった。
ネットで一般薬を購入した理由を尋ねたところ、「価格が安いから」との回答が41.9%と最も多かったのに対して、店舗で一般薬を購入した理由では「手にとって選択できるから」が72.5%と最も多く、次いで「近くに店舗があるから」が60.2%となったが、「購入すると会員ポイントが付くから」との回答も25.1%あった。一般薬の購入者は、ネット販売に価格の安さを求めていることが分かった。
薬の飲み方や副作用の説明の有無については、薬局やドラッグストアなどの店舗では「よく聞いた」と「だいたい聞いた」を合わせて52.9%だったのに対し、ネット販売時の電子メールによる説明では47.0%だった。研究分担者の今井博久氏(国立保健医療科学院)は、「ネット販売の方がやや説明が不十分である可能性が考えられた。表示や説明の仕方に工夫が求められる」とコメントした。
説明の理解度については、店舗で「理解できない」と回答した人は3.0%しかいなかったが、ネット販売では14.8%と多く、メールでの説明に気づいていない、気づいていても読まないことなどが理由として考えられた。
一方、保険薬局における一般薬の取り扱い状況についても調査した。日本薬剤師会の全国8県支部に協力を依頼し、各県ごとに無作為抽出した20薬局を対象に実施したもの。また、同じ質問項目でドラッグストアにも調査を行った。回答薬局数は122件、ドラッグストアは203件。
その結果、要指導薬について、ドラッグストアでは95.0%が販売していたが、薬局では39.2%しか取り扱っていなかった。何種類の要指導薬でどれぐらいの品目を取り扱っているかを尋ねたところでは、ほとんどの品目を販売している薬局は9.3%に過ぎず、ドラッグストアでは48.1%と約半数が取り扱っていた。薬局では、要指導薬を数品目しか販売していないところが90.7%とほとんどを占めていた(表)
薬局では、ドラッグストアに比べて要指導薬の取り扱いが少なく、現状では数品目しか取り揃えていない薬局が9割以上を占めている実態が明らかになった。今井氏は「要指導薬はネット販売が禁止され、店舗で薬剤師のみが販売できるが、実態はほとんど品揃えがない。保険薬局というよりも、処方箋を扱う調剤薬局に特化しすぎているのではないか」と指摘し、かかりつけ薬局としての機能を発揮すべきと話している。