表面温度と熱流の関係から体の深部の温度を測定
オムロン ヘルスケア株式会社は10月5日、独自のセンサ構造とアルゴリズムにより、体の表面温度から体温を測定する超小型貼り付け体温測定技術を開発したと発表した。10月7~10日まで開催される「CEATEC JAPAN 2015」(幕張メッセ)のオムロンブースにて紹介されるという。
画像はリリースより
体温(体の深部の温度)は、脂肪や血液などの体組織を通って、体表に伝わる。体の表面温度は、深部から体表までの距離(脂肪の厚さ)や熱の伝わりやすさ(熱流)など、体組織の特性によって、体温より低くなる。体表に伝わる熱流と体組織の特性がわかれば、体の表面温度から深部の温度を推定することができるという。
同社では、独自のセンサ構造により体の表面から体温を測定する独自のアルゴリズムを開発。深部温度センサ内には熱抵抗の異なる2種類の熱流センサを並べ、大小2つの熱流を測定し、表面温度と熱流の関係から体温を測定する。
さらに、深部温度センサは、MEMS技術(微細加工技術)によりチップサイズ8.1mm×7.7mmの超小型化を実現。この深部温度センサをお腹などの目立たず、邪魔にならない場所に貼り付けることで、体温を継続的に測定し、体温変化を管理することが可能になるという。
2017年度の商品化を目指す
近年、夏に猛暑日が続き、患者が急増している熱中症の症状には、体温の急上昇や体温調節機能の低下などがある。また、乳幼児や高齢者の急な発熱など、本人に自覚症状や周囲の人に伝えることができないまま体温が変化し、気づいたときには重症化するケースも発生している。しかし、一般の体温計は、わきや口中で体温計をしっかりとはさむ必要があるため、体温を測り続け体温の変化を確認することは困難だ。
そこで、今回開発したセンサに通信機能を搭載すれば、スマートフォンに測定データを送り、体温変化があった場合には家族やかかりつけ医等にアラームを鳴らすなど、危険な体温変化をすぐに察知し対応することができる。これにより、乳幼児や高齢者の体温変化管理や、屋外作業者の体調管理など、体温の管理による様々な安心を届けることが可能になるという。
同社では今後、2017年度の商品化を目指し、商品開発を進めていくとしている。
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・オムロン ヘルスケア株式会社 ニュースリリース