放射性標識化合物「florbetapir(18F)注射液」を合成する設備
住友重機械工業株式会社と日本イーライリリー株式会社は10月2日、住友重機械製の放射性医薬品合成設備「MPS200Aβ」の医療機器製造販売承認を9月28日付で取得したと発表した。これは、アルツハイマー型認知症が疑われる認知機能障害を有する患者の脳内アミロイドベータプラークを可視化する標識化合物「florbetapir(18F)注射液」を製造する設備だという。
画像はリリースより
アルツハイマー型認知症の原因のひとつとして、脳内にあるアミロイドベータというたんぱく質が凝集し、アミロイドベータプラークとして記憶や行動に関係する脳部位に蓄積することで、脳の神経細胞が減少し、その結果、脳の働きの低下や脳の萎縮が引き起こされ、認知機能が低下することが考えられている。同注射液は、脳内のアミロイドベータプラークをPET(陽電子放出断層撮影装置)検査により、画像化するために使用される放射性標識化合物。2012年4月6日に米国で承認・発売されている。
アルツハイマー型認知症の適切な診断を目指し
住友重機械は、同注射液の原料となる放射性物質(ラジオアイソトープ)を作るサイクロトロンのメーカーとして国内トップシェアを有しており、PET検査に用いられる放射性医薬品合成装置も数多くの実績を有しているという。今回、脳内アミロイドベータプラークのPET検査に用いられる放射性医薬品合成装置の医療機器製造販売承認は、国産品として初めて取得。MPS200Aβを用いて同注射液を製造する際に必要となる施設環境整備をはじめとする導入についてのエンジニアリング(サービス)も含めて、11月1日から販売を開始する予定だ。
両社は、同注射液を製造する放射性医薬品合成設備の技術・販売協力を通して、今後もアルツハイマー型認知症の適切な診断に貢献できるよう協力していきたいとしている。
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・日本イーライリリー株式会社 プレスリリース