自己免疫疾患の病態形成に関わるTh17細胞の誘導メカニズム
株式会社ヤクルト本社と慶應義塾大学は9月25日、免疫細胞であるTh17細胞が腸内細菌によって誘導されるメカニズムを世界に先駈けて解明したと発表した。この研究は、同社中央研究所の梅崎良則特別研究員と、同大学医学部の本田賢也教授らによるもの。研究成果は、科学雑誌「Cell」オンライン版に9月24日付けで掲載された。
画像はリリースより
Th17細胞は、感染症への抵抗性、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)や、自己免疫疾患の病態形成に密接に関わっている免疫細胞として知られている。同研究グループはこれまで、マウスの腸内常在細菌の一種であるセグメント細菌がTh17細胞を誘導し、感染症抵抗性を高めることを同定していたが、これらの細菌がTh17細胞を誘導するメカニズムは明らかになっておらず、関連疾患の理解や治療応用が進んでいなかったという。
Th17細胞を誘導する20種のヒト腸内細菌の同定にも成功
今回、同研究グループは、セグメント細菌が腸管上皮に突き刺さるようにして強く接着している形態的特徴に着目し検証することで、この上皮への接着特性がTh17細胞の誘導に強く関与することを同定。この結果をもとに、ヒトの腸内細菌叢においてTh17細胞を誘導する20種類の細菌の同定にも成功したという。
この研究の成果は、Th17細胞の関与が知られている炎症性腸疾患などの自己免疫疾患の予知、また腸管粘膜面で効率的にTh17細胞を誘導するワクチンの設計、さらには感染症治療に対するプロバイオティクス開発に役立つと期待が寄せられている。
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・慶應義塾大学 プレスリリース