英国国民保険サービス(NHS)の償還対象として推奨
中外製薬株式会社は9月18日、2015年9月3日に英国国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Clinical Excellence:NICE)が、「RoACTEMRA(R)」(一般名:tocilizumab)の単剤療法を英国国民保険サービス(National Health Services:NHS)の償還対象として推奨する最終指針を発行したと発表した。
RoACTEMRA(米国での販売名はACTEMRA)は、重度の関節リウマチ(RA)患者の治療薬として認められた生物学的製剤で、抗IL-6レセプター抗体。2009年に英国で上市され、イングランドおよびウェールズにおいては、一剤以上のDMARDsまたはTNF阻害剤の治療歴があり、症状の十分な軽減が得られてない、または忍容性が低い中等度から重度の成人のRA患者へMTXとの併用投与が認められている。MTXでの忍容性が低い、またはMTXとの併用療法の継続が不適当とされる成人患者では、RoACTEMRAの静脈内投与、皮下投与両方で単剤投与が可能だ。
今回の決定は、TNF阻害剤の単剤投与に比べ、RoACTEMRA投与では、およそ4倍の患者が寛解に達したという試験結果が含まれた申請資料に基づいたもの。なお同ガイダンスは、イングランドおよびウェールズが対象で、すでに1年前よりRoACTEMRAの単剤投与が利用可能となっていたスコットランドと同様の治療が受けられるようになるという。
通常のadalimumabの単剤投与に比べて、およそ4倍の患者が寛解
今回、RoACTEMRA単剤療法は、一般的な治療薬であるDMARDsの併用療法で効果が得られなかった重度のRA患者への治療として、現行のMTXとの併用療法に加え、NICEより推奨された。NICEへの申請書類の1つである主要な製造販売後臨床試験であるADACTA試験の結果は、RoACTEMRA単剤での静脈内投与では、MTXの投与が不適当と想定される重度のRA患者が寛解に達した割合が、通常利用されるTNF阻害剤であるadalimumabの単剤投与に比べて、およそ4倍だったという。さらに、DAS28スコアの変化量の平均値は、RoACTEMRA投与群では-3.3、adalimumab投与群では-1.8であり、RAの兆候や症状を抑制するのに、adalimumabの単剤投与に比べてRoACTEMRA単剤での静脈内投与が優れていることを強調していたという。高い頻度で報告されたRoACTEMRAの副作用は、上気道感染症や鼻咽頭炎だった。なお、重篤な副作用の発生数は、2剤ともほぼ同様だったという。
同社は、今回のRoACTEMRA単剤療法の推奨は、MTXを投与できない、またはMTXとの併用を望まない3分の1以上を占める重度のRA患者にとって、重要なステップになるだろうと述べている。
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・中外製薬株式会社 ニュースリリース