社会保障審議会医療部会は16日、2016年度診療報酬改定の基本方針策定に向け、医療提供体制の観点からの検討をスタートさせた。主な論点のたたき台は、病床機能の分化・連携、在宅医療・地域包括ケアシステムの推進、チーム医療の推進などが示された。今後11月下旬をメドに議論を深め、基本方針をまとめる。
この日の部会では、次期診療報酬改定の基本方針に向けた論点が示され、病床機能の分化・連携、在宅医療・地域包括ケアシステムの推進、チーム医療の推進、勤務環境の改善などが挙げられた。
邉見公雄委員(全国自治体病院協議会会長)は、「医療資源が少ない地域への目配りを視点に盛り込むべき」と主張。
山口育子委員(NPOささえあい医療人権センターCOML理事長)は「医療安全管理について、管理者が十分に理解している施設は一生懸命取り組んでいるが、点数がつかないところでは不十分」と指摘。「しっかりとした安全管理体制を作るための手厚い報酬が必要」との考えを示した。かかりつけ医・歯科医・薬剤師の評価のあり方にも言及し、「患者が選ぶ視点を重視してほしい」と求めた。
西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は、「医療従事者の確保といっても、いま都会にも地方にも人がいない」と指摘。「医療従事者の確保を大きな柱に盛り込んでほしい」と要望。相澤孝夫委員(日本病院会副会長)も「勤務環境の改善といっても人がいなければできない。人の確保をすべき」と同調した。
その上で、診療報酬制度の細部にわたる点数設定を問題視。「病院の事務職員が疲弊しており、簡素化してほしい」と訴えた。
安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)は、後発品の数量目標8割の達成は難しいとの認識を示し、「薬局薬剤師も努力するが、目標を達成できる環境をしっかり整備するよう明確化してほしい」と要望。かかりつけ薬剤師・薬局については「地域包括ケアシステムの中でどう活動していくか、その結果、患者から選ばれることが重要」とした。