携帯電話・スマートフォン事業で培った状態検知センサ技術を活用
京セラ株式会社と日本予防医学協会は9月16日、スマートフォンとウェアラブルデバイスを活用し、継続的に生活習慣の改善をサポートする新サービス「デイリーサポート(R)」を発表。今秋より、日本予防医学協会を通じて、健康保険組合、ヘルスケアサービス事業者、健康経営を目指す企業に対して、提供を開始する。東京ならびに大阪で記者会見を行った。
日本予防医学協会 村瀬孔一専務理事
2014年度の国民医療費の総額は、年間約40兆円、一人当たりの医療費は年間約31.4万円にのぼる。歯科領域を除いた医療費の約30%は、生活習慣病が原因で支払われている。会見に出席した日本予防医学協会の村瀬孔一専務理事は「国によって義務付けられた年1回の健康診断の結果だけでは、自分の生活を改善しようとする人は少ない。また企業やエリアによっても大きな差異がある」と語る。同協会はこの問題を解決する必要性を常々感じていたという。
そこで京セラと同協会は、京セラが携帯電話やスマートフォン事業で培ってきた状態検知センサ技術を活用し、個々人の生活習慣のデータ化、管理、分析、フィードバックまでを可能とするサービスの開発に着手。個人の生活習慣を「見える化」し、継続的な支援を行うことで、健康的な生活習慣を推進するデイリーサポートを開発したという。
JTBベネフィットとの連携も。ポイント制度でモチベーションを維持
小型でカラフルなデザインが特徴のTSUC
デイリーサポートは、主にウェアラブルデバイスの「TSUC (R)」(ツック)、「デイリーサポート用アプリ」、「支援者(保健師等)向けWEBサイト」という3つのツールからなっている。
TSUCは、日常の活動量を測定し、そのデータを自動でスマートフォンへアップロードできるウェアラブルデバイスで、歩数や消費カロリーを計測する。「状態検出」機能により、歩行/ランニング/乗り物(自転車・自動車など)/エレベーター・エスカレーター昇降/階段・坂道昇降など、どのように移動しているのか測定可能だという。
デイリーサポート用アプリでは、スマートフォンを活用することで、活動量、睡眠、食事などの生活習慣と「見える化」するアプリケーション。計測した数値はすべてグラフ化され、自身の状態を分かりやすく確認・管理することができるという。また、ランキング表示やポイント制が活用可能で、集めたポイントは、株式会社JTBベネフィットとの連携により、JTBグループポイントプログラムの「サンクスコレクト」に移行することで、同プログラムが取り扱う約1万点の商品の中から好きなものと交換できるようになる予定。
また同アプリには、京セラが特許を取得した「デイリースキャン」という技術を搭載。スマートフォンで腹囲を半周なぞるだけで、内臓脂肪面積を推定し、自分の内臓脂肪のイメージ画像を確認することができる。この技術では、日本予防医学協会の協力により構築された内臓脂肪面積推定アルゴリズムや画像データベースが用いられている。その精度は「市販の体脂肪計の精度とほぼ同等」だという。
支援者向けWEBサイトでは、保健師等の支援者が、自身が担当する対象者の活動状況をWEBサイト上で確認でき、健康増進のためのアドバイスを個別に送ることができる。また、傾向の近い対象者たちに向けて、一括でメッセージを送ることも可能だとしている。
京セラ・内藤氏「コンセプトは未来継承型サービス」
京セラ 通信機能戦略商品統括部 内藤昌宏氏
このほかにデイリーサポートでは、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社の血液検査機器「コバス(R) b 101」と連携し、企業内診療所等で血液測定を行い、結果に記載されるバーコード情報を専用アプリにアップロードすることで、専門家から健康に関するアドバイスを受けることができるという。
京セラ 通信機能戦略商品統括部の内藤昌宏氏は、「これまでのウェアラブル端末では、数か月で使用をやめてしまうことも少なくなかった」と、似たような機能を持つサービスが生まれては消えている現状を危惧。そのうえで、「デイリーサポートのコンセプトは『未来継承型サービス』。利用者が健康になるためだけでなく、のちの世代に引き継げる社会を目指し、このサービスを提供し続けていきたい」と、同サービスの継続的な提供に期待を込めた。
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・京セラ株式会社 ニュースリリース