ステロイドとは異なる化学構造を有するMAGR作動薬
武田薬品工業株式会社は9月11日、ミトコンドリア結合型糖質コルチコイド受容体作動薬(MAGR作動薬)と呼ばれる新規低分子化合物について、血液疾患および炎症性疾患の治療選択肢として、米国のGencia LLCと共同で研究開発を実施する旨の契約を締結したと発表した。
さまざまな血液疾患および炎症性疾患における第一選択薬として、また、併用療法や維持療法、再発時の治療薬としては、一般的に糖質コルチコイド(ステロイド薬)が使用されていた。しかしながら、副作用、期待した効果が得られない、抵抗性を示すなどの理由から、投与を制限しなければならないことも多くあり、長らく問題になってきた。
MAGR作動薬は、この糖質コルチコイドに代わる治療薬となる可能性がある新薬。ステロイドとは異なる化学構造を有しているため、ステロイドとは異なる作用機序で治療効果をもたらすと考えられている。
試験の候補となる化合物が特定され次第、臨床試験の実施を検討
Gencia社が創製したMAGR作動薬は、ステロイド感受性もしくは抵抗性を示すさまざまな薬物動態モデルにおいて活性が示唆されている。両社は今回の契約締結により、MAGR作動薬の治療薬としての潜在的使用方法や安全かつ長期における効果的な使用の可能性を探索してきたいとしている。
同提携における最初の目標は、炎症性疾患領域およびがん領域それぞれにおいて、前臨床試験に進める2つのリード化合物を共同で探索することだという。試験の候補となる化合物が特定され次第、臨床試験の実施について検討する予定だ。
同社は、現在ステロイドを長期に使用せざるを得ないさまざまな疾患において、MAGR作動薬が治療効果を発揮することに期待を寄せている。さらに、ステロイドの慢性的な使用から生じる問題を解決できるような治療薬を創出することにより、治療パラダイムを変えることができると述べている。
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・武田薬品工業株式会社 ニュースリリース