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化学及血清療法研究所、原因究明へ第三者委設置-血液製剤の製造法改変問題

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2015年09月14日 AM11:00

化学及血清療法研究所は9日、国の承認書とは異なる製造方法で製造していたとして、厚生労働省から血液製剤の出荷差し止めを受けていた問題で、違反行為に至った経緯などを調査するため、今月にも第三者委員会を設置することを決めた。約3カ月かけて、製造記録など内部文書の確認や、信頼性保証部門からのヒアリングを実施し、違反の原因を究明する。薬事・食品衛生審議会血液事業部会運営委員会で、化血研の宮本誠二理事長が明らかにした。

宮本氏は、製造工程の一部改変や省略が行われた背景に「法令軽視、コンプライアンス軽視の姿勢があった」と謝罪。9月から品質保証体制の組織改編を行ったことを報告し、執行部からなる経営会議の直下に「法務・コンプライアンス部門」を新設したほか、所長の直轄に信頼性保証部門をまとめる総括製造販売責任者を設けたことを説明した。さらに、信頼性保証部門にあった品質保証部をGMP部門に移管させ、全ての製造部を一括して監視できる体制に改めた。

その上で、内部調査だけでなく、社内のガバナンス全体も視野に入れた客観的な調査が必要とする厚労省の要請に応じ、外部有識者で構成された第三者委員会を今月中にも発足することを決めた。

委員には、元日本製薬団体連合会GMP委員会常任委員の木下統晴氏や元国立感染症研究所血液安全性研究部長の小室勝利氏ら5人が就任。約3カ月かけて、血液製剤の製造手順書や製造記録などの内容確認や、信頼性保証部門などへのヒアリングを実施し、違反行為に至った経緯や動機を調査すると共に、再発防止に向けた対応策などを検討していくこととした。

この日の運営委員会で、委員からは「どのような判断で工程の改変が行われたか、その事実関係を明らかにすべき」「安全性情報など記録の管理体制に問題はなかったか」といった意見が相次ぎ、必要に応じて第三者委員会と意見交換を行うことになった。今後、厚労省は、第三者委員会の報告書などを踏まえ、化血研に対する処分を検討する。

6月から出荷差し止めとなっている血液製剤は、「人血清アルブミン」や「人免疫グロブリン」など12製品26品目。7月から実施中の社内調査によると、承認書に記載された工程の改変は1990年代から行われており、約20年間にわたり違反行為が明らかにされてこなかった。

■「コンファクトF」を例外出荷-厚労省、3製品目の緊急対応

また厚労省は、化血研が製造する血液製剤「コンファクトF」(一般名:乾燥濃縮人血液凝固第VIII因子)について、早ければ10月下旬にも在庫切れとなることから、生命の危険が高い患者の治療に対応するため、化血研の在庫の一部を流通させる方針を決めた。緊急対応による例外的な出荷は3製品目となる。9日の薬食審血液事業部会運営委員会で了承された。

代替製品のない「コンファクトF注射用1000」は、10月下旬にも市場に流通している製品がなくなる見通しで、新たに製造開始した場合でも最短で11月中旬となり、約1カ月間にわたって在庫切れになる恐れがあった。

厚労省は、化血研が出荷を止めている在庫に関し、安定剤アルブミンに添加されているヘパリンの量に問題がないほか、ウイルス不活化・除去の性能を評価する試験でも安全性が確認されたことを報告。これを受けて、同委員会は、化血研の在庫の一部を例外的に出荷することを了承した。

コンファクトの販売元はアステラス製薬であることから、厚労省は同社と連携して情報提供を行うと共に、化血研のホームページや学会を通じて、医療機関に情報発信していくこととした。

ただ、7月に出荷を認めた血友病治療薬「バイクロット」「注射用アナクトC」とは異なり、医師が適切なインフォームド・コンセントを実施することなどの条件は不要とした。

今後、「人血清アルブミン」や「ボルヒール組織接着用」など代替製品の一部でも、品切れが発生する見通し。

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