作業・労務管理、業務改善をする上で有益な情報を
北海道大学は9月9日、同大学院情報科学研究科の田中孝之准教授らが株式会社ニコンとの共同研究で、着るだけで作業中の腰の負担を可視化することができるセンサ内蔵ウェアを開発したと発表した。
画像はリリースより
さまざまな職場で作業員の負担や疲労の軽減、特に腰痛予防が求められる中、研究グループはこれまで各種作業の「軽労化」に対する取り組みを行ってきた。いつ、どのような作業で、どの程度の負担がかかるのかを察知することができれば、直接的に腰痛の要因となる危険姿勢を避けることができ、また作業・労務管理、業務改善をする上で有益な情報を得ることができると考え、今回のセンサ内蔵ウェアを開発したという。
レントゲン撮影と同等の精度で腰仙椎アライメントを推定
このセンサ内蔵ウェアには、加速度センサと曲げセンサが内蔵されており、ウェアを着るとそれらが腰に密着し、内蔵したマイコンで各種計算、制御、データ保存ができる。内蔵バッテリで駆動でき、バッテリ込みで273gと軽量で、柔軟素材でできているため違和感なく装着できるとしている。
また、レントゲン撮影結果と同等の精度で、腰の負担を計算するために必要な腰仙椎アライメント(脊椎の腰部の位置・姿勢)をリアルタイムに推定することが可能。その結果を用いて、前屈姿勢など腰に負担のかかる姿勢をとった時に大きな負担が腰椎にかかっていることをリアルタイムに計算することができるため、作業者に危険姿勢を取っていることを警告したり、作業者の負担を管理したりすることができるという。
今後、同研究グループは、センサ内蔵ウェアを介護施設など労働現場で活用できる製品、サービスとして展開を検討。作業中の腰負荷データを蓄積し、ビッグデータ解析することで、腰負荷の軽減や人員配置の最適化など業務改善に繋がるソリューションの提供を行うための開発を進めていく予定としている。
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・北海道大学 プレスリリース