センサー入り製剤「デジタルメディスン」は服薬管理の新潮流となるか?
大塚製薬株式会社と米プロテウス・デジタル・ヘルス社は9月11日、抗精神病薬「エビリファイ錠」(一般名:アリピプラゾール)に小型センサーが入った製剤および周辺機器について、新薬承認申請を米国FDAが受理したことを発表した。このデジタルメディスンは、現在承認されているエビリファイの適応である、成人の統合失調症や双極性1型障害、成人大うつ病性障害の補助療法において使用される。
デジタルメディスンは、エビリファイの錠剤に極小センサーを搭載したもの。錠剤を服用するとセンサーがシグナルを発し、患者の体表面に貼り付けたパッチ型の検出器でそのシグナルを受け取る。これにより、患者がいつ服用したかだけでなく、体の傾きや活動量(歩数)、活動パターンなどさまざまなデータを検出することが可能。収集したデータはスマートフォンやタブレットなどに転送され、患者同意のもと、医師や看護師などの医療従事者に情報提供される。
服薬不良によるコスト増が最大3000億ドルにも上る米国
米国においては、服薬不良による影響によって、直接的もしくは間接的なコストが1000億~3000億ドルにのぼると推定されている。さらに統合失調症の薬物治療においては、薬を定期的に飲まなくなることを再発のリスクが増大する。
大塚ファーマシューティカルD&C Inc.の社長兼CEOであるウィリアム・カーソン氏は以下のコメントを発表した。
また、プロテウス・デジタル・ヘルス社の社長兼CEOであるアンドリュー・トンプソン氏も「デジタルメディスンが使われることで、患者さんの服薬状況や身体状態が正確に把握されるようになり、治験時に確認された薬効をより確実に発揮できるものと期待しています。個人の服薬パターン、ライフスタイルおよび日頃の健康活動を知ることにより、個々に最適な薬の処方が行えるようになります」とコメントした。
このデジタルメディスンの導入により、同社では「この情報をもとに、この情報を元に、医療従事者や介護者が患者さんにより適した治療法を選定し、その結果として患者さんの服薬アドヒアランスを向上させることが期待できます」としている。
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・大塚製薬株式会社 プレスリリース