■後発品メガファーマ誕生促す
厚生労働省は4日、医薬品産業の競争力を強化するための総合戦略をまとめ公表した。国として新薬メーカーには、グローバル展開できる革新的新薬の創出を要求。国際競争に勝てる企業力の強化を促した。後発品メーカーには、安定供給に集中する観点から、規模がより大きなメーカーの誕生が望ましいとした。さらに、MR業務の集中と選択を求め、法令や基準に違反する販促活動への措置も検討するとした。
総合戦略では、新薬メーカーに対し、これまで以上に研究開発に集中投資することを求め、グローバル展開できる革新的新薬の創出が期待されると強調。名実ともにグローバルな競争に勝てる企業となるため、自らの経営戦略について、資本力、研究開発力、グローバルな人材確保等の企業力を強化するよう期待感を表明した。製薬業界の自発的な行動を促すと共に、M&Aによる規模拡大も視野に入れるべきとした。
ただ、規模が小さくても、新薬を生み出してきた国内メーカーもあったことに留意すべきとし、グローバル展開できる新薬が創出できれば、企業規模にこだわらない考えも示した。
後発品メーカーに対しては、安価で高品質の後発品の安定供給に集中することを求め、そのために規模がより大きなメーカーの誕生が望ましいのではないかとし、集約化と大型化に向けた検討を促した。
後発品の使用促進を加速させるため、2015年度中に行うとしていた規格揃えの見直しについて、今月をメドに方向性を決めるための検討を進めるとした。
さらに、承認時に販売名を変更するようメーカーに指導すると共に、今後数年間に一般名ベースの販売名に変更しない後発品は、薬価基準から削除することも含め検討するとした。後発品の共同開発の状況を公表する仕組みを検討することも盛り込んだ。
■「実現に向け最善尽くす」製薬協会長が声明
総合戦略の公表を受け、日本製薬工業協会は同日、革新的な新薬創出等に向け、製薬産業全体を後押しするものとして「高く評価したい」などとする多田正世会長名で声明を発表した。
声明では、グローバルに展開できる革新的新薬創出への強い期待に対し、「われわれ研究開発型の製薬産業としても、その期待に応えられるように最善を尽くしたい」との姿勢を示す一方で、新薬創出等加算の維持・継続、研究開発税制の拡充など、研究開発投資を促進させる政策の着実な推進も要望した。
また、総合戦略にも位置づけられている「国際薬事規制調和戦略」については、アジア製薬団体連携会議(APAC)を通じた取り組みを行っているところであり、行政当局などとも連携しながら各種施策に実施・実現に努めたいとした。
一方、総合戦略で打ち出された新薬メーカーのM&Aなどによる事業規模拡大の必要性については、「個々の企業の戦略的な問題であり、企業経営者自らが主体的・総合的に判断すべき」との考えを示した。