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医行為明示、検体測定へ弾み-薬局薬剤師の役割に手応え

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2015年09月04日 AM10:00


■リフィル処方箋への期待も

薬局等の検体測定室で行う場合の採血行為のうち、採血する受検者の指先を消毒したり、専用容器に血液を採取することは医行為に当たらないとの見解が厚生労働省から示されたことで、薬局関係者から歓迎の声が上がっている。穿刺する時のコツを具体的に教えたり、採血前に手指のマッサージについて指導し、血液を出す手技を教えられるようになり、現場では薬剤師が果たす役割に確かな手応えが広がる。検体測定を通じた将来のリフィル処方箋への期待も出ており、今後、薬局等で健康づくりを支援するセルフメディケーションに弾みがつく可能性がありそうだ。

厚労省は、昨年6月に通知した「検体測定室に関するガイドライン」の疑義解釈集で、薬局等で薬剤師が受検者の手指に触れて採血を手伝うことはできないとの見解を示し、薬局薬剤師からは、血液採取を手伝えないことについて戸惑いの声が出ていた。

ただ、6月に閣議決定された改訂版成長戦略では、検体測定室での一連の採血行為について、看護師等が利用者に対し、医行為でないものとして介助できる部分を明確化するとされた。これを受け厚労省は8月、指先の穿刺と血液の絞り出しは医行為に当たるとの見解を検体測定室の運営責任者に通知。自己採血を行う受検者の指先の血行促進や消毒を行ったり、専用容器に血液を採取する行為等は、医行為に当たらないとの判断を示した。

今回の判断について、長く自己血糖測定に取り組んできた薬局経営者は「明確になったのはいいことで、利用者に説明しやすくなった」と評価。「恐怖感のない針を選んだり、穿刺の時に声かけをしたり、具体的な穿刺や血液の絞り出しのコツを堂々と教えることができる」と実感を話し、薬剤師の役割について「バンジージャンプのインストラクターのようなもの」と表現する。

稀に血液の出にくい利用者もいるとし、「頼まれたら血液の絞り出しを手伝えるような位置づけであれば、なお良かった」と感想を述べた上で、「検体測定を通じて将来のリフィル処方箋につながれば」と今後の展開に期待を寄せる。

別の薬局薬剤師は、「一連の採血行為において、手指の血行促進、指先の消毒も医行為に当たると思っていたので安心した」と語る。医行為の明確化により、「採血の前に、しっかり手指のマッサージを指導し、血液を出す手技を教えることができるようになり、助かっている」という。既に薬局では、定期的に検体測定をする利用者が何人かおり、セルフメディケーションの支援として貢献できている実感を深めているようだ。

また、若手の薬局薬剤師は「現時点でスタンスは何も変わらない」としつつ、「医行為以外の部分で介入することにより、採血の失敗が減るという点では、やりやすくなったことに間違いないが、せっかくのチャンスを棒に振らないためにも、足並みを揃えてガイドラインを守ることが大切」と強調する。

その上で、「一つひとつの行為が医行為かどうかよりも、薬剤師が薬局でセルフチェックの手伝いをするとはどういうことなのか、地域のファーストアクセス機能を持った薬局とはどういうものなのかなど、きちんと考えていくことの方が重要になっていくのではないか」と述べ、検体測定室を通じて薬局のあり方を考えるべきと先を見据える。

一方、ドラッグストアの薬剤師は、「きちんと線引きがなされた形となり、喜ばしいこと」と歓迎しつつ、「多くの薬局では、血液の絞り出しをほとんど必要としないHbA1cや随時血糖のみを測定しているが、さらに幅広い疾患領域で地域住民のセルフケアを支援するには、HbA1cだけでいいのかと感じている」と述べる。

検体測定の有用性に疑問を投げかける向きもあると指摘。「われわれが何のために測定し、どのように受検者を支援していくのかを考えなければならない」とし、検体測定によるエビデンスが必要との考えを示している。

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