厚生労働省の検討会で議論されている「健康づくり支援薬局」については、▽かかりつけ薬剤師・薬局としての基本的機能▽積極的な健康サポート機能――に関する具体的な要件案が、8月26日に開かれた第5回検討会で示された。
このうち、要指導医薬品、一般用医薬品の取り扱いについては、「一般用医薬品等を原則として中分類につき2銘柄以上の医薬品を取り扱っていること」とされた。これに対し有澤氏は「患者さんが選択できる幅を考えると、もう少しプラスしてもいいのではないか。全体で一定数以上、約300品目以上はどうかと提案した」と説明。さらに、「要指導医薬品も一定程度入っているという考え方で検討してほしいと求めた」と語った。
また、衛生材料等の取り扱いは要件として設定されていないが、有澤氏は「衛生材料、介護用品、医療機器を扱えることは要件にすべき。例えば自己血糖測定器を扱えない薬局が本当に健康づくりを支援できるのかは疑問だ」と話した。
このほか、薬剤師の資質について日薬は「一般用医薬品の適正使用の助言や健康相談、関係職種への紹介などに関する研修を修了した薬剤師の常駐」だけでなく、「薬局での実務経験が5年以上」という要件を加えるよう求めている。「いくら研修を積んでも相談機能には経験が重要なポイントになる」と有澤氏は語った。
開局時間については「1人薬剤師で勤務者の場合は労働基準法の問題があり基準を満たすことが難しいかもしれないため、何らかの支援が必要」と言及。24時間対応、在宅対応については「在宅は基本的に計画的に行うものであるから1人薬剤師であっても在宅対応は可能」と理解を求めた。
有澤氏は「健康づくり支援薬局には、地域包括ケアに参画できる薬局を目指すという意味も込められている。2025年までに1万8000軒程度の薬局が地域包括ケアに参画する必要がある」と強調。健康づくり支援薬局が2000軒程度にとどまるなら「地域包括ケアに薬局が参加する必要がないと受け止められてしまう」と危惧を表明した。
健康づくり支援薬局の基準を下げるほどその数は多くなるが、実効性が失われてしまうため、「そのバランスをどう考えるのかが課題」と語った。