努力肺活量の年間減少率を統計学的に有意に抑制
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は8月31日、チロシンキナーゼ阻害剤/抗線維化剤「オフェブ(R)カプセル100mg/150 mg」(一般名:ニンテダニブエタンスルホン酸塩)について、特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis:IPF)の効能・効果で発売したことを発表した。
画像はリリースより
同剤は、第3相国際共同臨床試験(INPULSI(TM)-1試験、INPULSIS(TM)-2試験)において、一貫して主要評価項目である努力肺活量(FVC)の年間減少率をプラセボに比べて統計学的に有意に抑制することを示した。また、中央判定された急性増悪の発現リスクを抑制したという。
IPF治療薬としては初めての分子標的薬
オフェブは、IPFの治療を目的として同社が開発した、7年ぶりの新薬。初の分子標的薬でもあり、肺線維症の発症機序への関与が示唆されている増殖因子受容体、特に血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)および血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を標的にする。
IPFは慢性かつ進行性の経過をたどり、最終的には死に至る肺線維化疾患だが、現時点で利用できる治療選択肢は限られており、新しい治療薬の開発が望まれていた。
同剤は今年の7月、その治療価値が評価され、米国胸部学会(ATS)、欧州呼吸器学会議(ERS)、日本呼吸器学会(JRS)、南米胸部学会(ALAT)の4学会が合同で策定し、2011年の公表以来4年ぶりに改定された最新の国際治療ガイドライン「特発性肺線維症の治療」において、IPFの推奨治療薬の1つとして新たに追加されている。同社は、同剤の発売が、難病のIPF患者に革新的な治療法になるとして期待を寄せている。
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・日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 プレスリリース