医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医薬品・医療機器 > がん免疫治療の併用療法臨床試験でPeregrine社と提携、推奨用量レジメンの確立を予定-英AZ

がん免疫治療の併用療法臨床試験でPeregrine社と提携、推奨用量レジメンの確立を予定-英AZ

読了時間:約 1分31秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2015年09月01日 PM01:00

併用における安全性・有効性を、複数の固形がんを対象に評価

英国のアストラゼネカは8月24日、米国のPeregrine Pharmaceuticals社と、アストラゼネが開発中の抗プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)免疫チェックポイント阻害剤である「durvalumab」()とPeregrine社が開発中のホスファチジルセリン(PS)シグナル伝達経路阻害剤「bavituximab」の併用に関して、提携契約を締結したことを発表した。

bavituximabとdurvalumabはいずれも開発中の免疫治療剤で、生体の抗腫瘍免疫システムを支える作用機序が異なる。今回の契約の元、計画中の第1/1b相試験において、durvalumabとbavituximabの併用における安全性・有効性を、複数の固形がんを対象に評価するという。

今回、両社は非独占的に提携し、さまざまな固形がんを対象にbavituximabとdurvalumabの併用を化学療法と比較評価。第1相試験では併用療法の推奨用量レジメンを確立する予定で、第1b相試験では併用療法の安全性と有効性を評価するという。なお、最初の試験はPeregrine社により実施されるとしている。

がん免疫治療における併用療法が、新規かつ効果の高いアプローチに

Peregrine社のbavituximabは、PSを標的とするキメラモノクローナル抗体。がん微小環境にある細胞の表面に広範に発現する、免疫抑制効果の高い分子であるPS活性を標的とし作用する。同剤は、腫瘍内の活性化T細胞を増強し、多くのがん細胞が増殖するために獲得してきた免疫抑制的な微小環境を逆転させることで、抗腫瘍効果を発揮することが期待されている。

一方、アストラゼネカのdurvalumabは、PD-L1を直接攻撃するモノクローナル抗体。PD-L1が発信するシグナルは、腫瘍が免疫システムから探知されにくくなるよう作用するが、前臨床データにより、bavituximabの増強されたT細胞を介した抗腫瘍作用とPD-L1抗体のようなチェックポイント阻害剤を併用することで、腫瘍特異的T細胞が腫瘍を攻撃し続ける能力の持続期間が延長されることが示されているという。

アストラゼネカは今回のPeregrine社との提携について、複数のがん腫において患者に重要な臨床的ベネフィットを提供するとともに、併用に関する新規の有望な探求機会をもたらすものだと述べている。

▼関連リンク
アストラゼネカ株式会社 プレスリリース

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医薬品・医療機器

  • 新たにオンコロジー領域に注力し「2031年までに年平均成長率8%を目指す」‐GSK
  • シベプレンリマブ、IgA腎症P3試験で主要評価項目を達成-大塚製薬
  • チルゼパチド、肥満症の日本人対象P3試験で有意な体重減少効果-リリー
  • エブリスディ2年データ、SMA小児の多くが独立歩行可能となったことを示す-ロシュ
  • 点滴ライン整理用の「カラフルホルダー」開発、ワンタッチで長さ調節可-東北大ほか