併用における安全性・有効性を、複数の固形がんを対象に評価
英国のアストラゼネカは8月24日、米国のPeregrine Pharmaceuticals社と、アストラゼネが開発中の抗プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)免疫チェックポイント阻害剤である「durvalumab」(MEDI4736)とPeregrine社が開発中のホスファチジルセリン(PS)シグナル伝達経路阻害剤「bavituximab」の併用に関して、提携契約を締結したことを発表した。
bavituximabとdurvalumabはいずれも開発中の免疫治療剤で、生体の抗腫瘍免疫システムを支える作用機序が異なる。今回の契約の元、計画中の第1/1b相試験において、durvalumabとbavituximabの併用における安全性・有効性を、複数の固形がんを対象に評価するという。
今回、両社は非独占的に提携し、さまざまな固形がんを対象にbavituximabとdurvalumabの併用を化学療法と比較評価。第1相試験では併用療法の推奨用量レジメンを確立する予定で、第1b相試験では併用療法の安全性と有効性を評価するという。なお、最初の試験はPeregrine社により実施されるとしている。
がん免疫治療における併用療法が、新規かつ効果の高いアプローチに
Peregrine社のbavituximabは、PSを標的とするキメラモノクローナル抗体。がん微小環境にある細胞の表面に広範に発現する、免疫抑制効果の高い分子であるPS活性を標的とし作用する。同剤は、腫瘍内の活性化T細胞を増強し、多くのがん細胞が増殖するために獲得してきた免疫抑制的な微小環境を逆転させることで、抗腫瘍効果を発揮することが期待されている。
一方、アストラゼネカのdurvalumabは、PD-L1を直接攻撃するモノクローナル抗体。PD-L1が発信するシグナルは、腫瘍が免疫システムから探知されにくくなるよう作用するが、前臨床データにより、bavituximabの増強されたT細胞を介した抗腫瘍作用とPD-L1抗体のようなチェックポイント阻害剤を併用することで、腫瘍特異的T細胞が腫瘍を攻撃し続ける能力の持続期間が延長されることが示されているという。
アストラゼネカは今回のPeregrine社との提携について、複数のがん腫において患者に重要な臨床的ベネフィットを提供するとともに、併用に関する新規の有望な探求機会をもたらすものだと述べている。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース