高い選択性を示すプロテアソーム阻害剤
小野薬品工業株式会社は8月26日、プロテアソーム阻害剤「カルフィルゾミブ(ONO-7057)」について、再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬として国内製造販売承認を申請したと発表した。
カルフィルゾミブは、Amgen社の子会社である米国Onyx Pharmaceuticals Inc.より 2010年9月に導入した、高い選択性を示すプロテアソーム阻害剤。プロテアソームは、細胞内に存在する酵素複合体で、ポリユビキチン化されたタンパクを分解する作用を有しており、細胞の増殖、分化および機能的細胞死を制御している。カルフィルゾミブは、このプロテアソーム活性を阻害することにより、骨髄腫細胞の機能的細胞死を誘導するという。
今年8月、厚労省より希少疾病用医薬品に指定
多発性骨髄腫は、骨髄中にある形質細胞の異常により引き起こされる血液がんで、日本国内における総患者数は約14,000人と報告されている。現在、多発性骨髄腫に対する治療法は複数存在するが、寛解と再発を繰り返し進行する、もしくは難治性の病状に移行する場合も少なくない。また、長期的な治療では副作用や合併症が報告されており、治療に難渋する場合もあるという。これらのことから、多発性骨髄腫に対する新たな治療薬の開発が期待されていた。
カルフィルゾミブは、米国においては2012年7月に、ボルテゾミブおよび免疫調節薬を含む少なくとも2回以上の前治療歴を有し、直近の治療期間中または治療後60日以内に疾患進行を示した多発性骨髄腫を効能・効果とした単剤療法で迅速承認され、すでに販売されている。また、2015年7月にはレナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法について、1~3回の前治療歴を有する多発性骨髄腫の治療を適応として承認を取得。さらに、欧州においては、2015年1月に承認申請を行い、優先審査の対象とされている。
なお日本では、8月20日に厚生労働省より、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されている。
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・小野薬品工業株式会社 プレスリリース