ワクチン製造における「ヴェロ細胞培養技術」に関する契約
武田薬品工業株式会社と米国のNanotherapeutics Inc.は8月27日、Nanotherapeutics社がBaxalta(旧バクスターインターナショナルインク バイオサイエンス部門。以下、「バクスター社」)から買収したワクチン製造の細胞培養技術である「ヴェロ細胞培養技術」に関し、販売権および同技術の利用権の拡大に関する契約を締結したと発表した。
2010年、武田薬品とバクスター社は、日本におけるパンデミックおよび季節性インフルエンザワクチンの開発に関する技術を、バクスター社から武田薬品に独占的に許諾するライセンス契約を締結。武田薬品のパンデミックインフルエンザに対する細胞培養インフルエンザワクチン(H5N1およびプロトタイプ)は、この製造技術を用いて開発され、2014年3月、日本において製造販売承認を取得した。また現在は、日本で同様の製造技術を用い、季節性インフルエンザに対する細胞培養インフルエンザワクチン(TAK-850)を開発している。
日本以外の地域でのワクチン開発・販売権を新たに獲得
ヴェロ細胞培養技術は、ワクチン製造における革新的な細胞培養技術。2014年12月9日、バクスター社は、ヴェロ細胞培養の所有権および、チェコ共和国のボフミルにある製造設備を含む関連資産をNanotherapeutics社へ売却。Nanotherapeutics社との契約においては、H5N1、H1N1および季節性インフルエンザワクチンを含む同技術に関連する全ての資産が対象となっている。また、同契約では、ロスリバーウイルス、チクングニア熱およびウエストナイル熱ワクチンの探索プログラムも含まれているという。
今回の武田薬品とNanotherapeutics社との契約締結により、バクスター社との当初契約に基づく武田薬品の将来の対価の支払義務は無くなる。また、武田薬品は、日本に加え日本以外の特定の地域においてヴェロ細胞培養技術を用いたパンデミックおよび季節性インフルエンザワクチンの開発・販売権を新たに獲得。インフルエンザ以外のワクチン開発においてもヴェロ細胞培養技術および関連試料の利用が可能になるとしている。なお、同契約に関する経済条件は開示していない。
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・武田薬品工業株式会社 ニュースリリース