■後発品の品質情報で冊子発行
厚生労働省医薬食品局の2016年度予算概算要求は、前年度比20.1%増の106億8900万円を計上した。年内に策定する「患者のための薬局ビジョン」の実現に向け、健康サポート機能の充実や24時間対応、在宅対応するための薬局の地域連携体制作りに向けた取り組みなど、かかりつけ機能の強化のためのモデル事業を実施する。後発品の品質に関する信頼性を高めるため、有効成分ごとに品質情報を体系的にまとめた冊子「ブルーブック」(仮称)を新たに発行することなどを盛り込んだ。
医薬食品局の概算要求は、推進枠を生かして大幅な増額を求めた。薬剤師関連では、患者のための薬局ビジョンの推進に新規で2億2500万円を要求。「健康づくり支援薬局」(仮称)の基準を作成し、来年度から公表することを踏まえ、モデル事業によって基準を上回るような健康サポート機能を発揮する先進的な取り組みを支援する。
基準を満たさない薬局でも24時間対応や在宅対応ができるように地域の薬局間で連携体制を作ったり、かかりつけ医を中心に地域の他職種連携による健康づくりの取り組みなど、薬局のかかりつけ機能を強化するため、テーマを設けて全国でモデル事業を実施する。
また、後発品の品質確保対策の推進には、15年度予算の1億7000万円から大幅増額の4億8900万円を要求。後発品の信頼性を高めるため、国立医薬品食品衛生研究所に設置した「ジェネリック医薬品品質情報検討会」で品質に懸念が示された品目、市場流通品の品質確認検査の結果などについて学術的評価をまとめて行い、有効成分ごとに品質情報を体系的に整理した冊子「ブルーブック」を公表する。
後発品の使用割合を8割に引き上げることに伴い、アジアなど海外で製造された原薬、製剤の輸入増が見込まれることから、海外製造所の品質管理を強化するため、実地調査に必要な医薬品医療機器総合機構(PMDA)の嘱託職員を雇用して人員体制を強化する。
医薬品の広告・販売に関するルール遵守の徹底に2200万円を新規で計上した。
製薬企業による適正な広告活動を確保するため、医療用医薬品を対象に全国20カ所の協力医療機関を選び、医療現場の医師や薬剤師に対する製薬企業の販促活動の状況について、直接情報を集め、評価した上で、広告違反に当たる行為を早期に見つけて行政指導など必要な対応を図る。
さらに、新規で6月に策定した国際薬事規制調和戦略に4億5000万円を要求。アジア医薬品・医療機器薬事トレーニングセンターの設置に2億6200万円、ICHの新法人の運営費負担など国際協力の枠組みへの積極的参加に1億5200万円を盛り込んだ。
その他、先駆け審査指定制度の対象品目について、中小企業やベンチャーのPMDAへの相談手数料を軽減する予算として5000万円を要求したほか、人道的見地からの治験を推進するため、1億5000万円を計上し、開発企業が治験実施に必要なPMDAへの相談手数料を軽減する。希少疾病用医薬品の開発、実用化に向けても2300万円を要求し、中小企業やベンチャーの相談手数料、申請前相談の手数料を軽減する。