NEDOプロジェクトのもと、京大・再生医科学研究所らが開発
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は8月20日、NEDOプロジェクトの成果をもとに、京都大学・再生医科学研究所と株式会社リプロセルが行っていた、新規化合物による細胞凍結保存液の開発に成功したことを発表した。
画像はリリースより
これまでNEDOは、ヒト幹細胞を応用した再生医療製品開発の促進や再生医療製品および再生医療周辺製品の国際競争力強化を図るため、「再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発/ヒト多能性幹細胞由来の再生医療製品製造システムの開発」を行ってきた。2014年度はNEDOで実施し、2015年度より日本医療研究開発機構(AMED)で実施している。
同プロジェクトは、京都大学iPS細胞研究所特定拠点教授・副所長の中畑龍俊氏をプロジェクトリーダーとし、今回の成果は京都大学iCeMS特任教授・設立拠点長の中辻憲夫氏をサブプロジェクトリーダーとしたグループで行われたもの。
幹細胞を用いた研究分野における新たな凍結保存法として期待
今回開発した細胞凍結保存液は、ヒトES/iPS細胞の凍結保存液として、毒性のあるジメチルスルホキシド(DMSO)を使用しないもの。DMSOは、最も多く用いられている凍結保護剤成分で、緩慢凍結と急速融解により、良好な細胞生存率が容易に得られることが知られている。一方、DMSOは培養細胞の分化誘導剤としても用いられてきており、DMSOを用いた凍結保存により細胞の分化形質が変化してしまう可能性も報告されている。
今回の細胞凍結保存液は、DMSOの機能を代替しながらも毒性を示さないとして、今後、再生医療分野のみならず、幹細胞を用いた研究分野における新たな凍結保存法として大きな貢献が期待されている。この細胞凍結保存液は、リプロセルが商品化、8月24日に販売を開始する予定としている。
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