厚生労働省と総務省の合同会議「クラウド時代の医療ICTの在り方に関する懇談会」は18日、クラウドサービスを活用した医療情報連携に向けた骨子案をまとめた。個人の健康情報を一元的に管理するパーソナルヘルスレコード(PHR)に関しては、今後、母子手帳の電子化や検診情報の一元管理などの事例から運用上の課題等を検討し、普及促進に向けたガイドラインを策定していく必要があるとした。
骨子案では、医療分野でのPHRサービスの本格的な導入、スマートフォンなどモバイルサービスの利用促進、超高精細映像技術の普及などについて、今後の方向性を示した。
PHRサービスについては、国民自らが生涯にわたる健康情報等を時系列的に管理し、自身の健康状態を把握することで、より適切なサービスの提供を受けることを目指すものと位置づけた。
その上で、サービスの運営主体やコスト負担の問題、PHRデータを継続的に取り扱うための管理方法などが課題と指摘。また、病歴など機微な情報が含まれることを踏まえ、利用者自らが情報をどこまで開示するのかという「閲覧範囲の問題」や、それを担保する運営上のルールやセキュリティ対策などについても検討する必要があるとした。
これらの課題に対し、母子手帳や生活習慣病の疾病管理手帳等の電子化、学校や職場の検診情報の一元管理、モバイルを活用した病診連携などの事例から、利用者のメリットや運用上の問題点を洗い出し、ガイドライン策定やルール作りなどを検討していく必要があるとした。
そのほか、内閣官房の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)が、データ流通促進改革の一環として、医療機関や薬局の保有する情報などを本人の同意に基づき委託管理できる第三者機関の設置を検討していることを踏まえ、これら政府のIT政策と連携しながら、今後の議論を深めるべきだとした。