■AMED、PMDAが協力
日本医療研究開発機構(AMED)と医薬品医療機器総合機構(PMDA)は19日、日本発の革新的新薬を生み出すため、お互いの情報を共有したり、知識や経験を生かす連携協定を結んだ。AMEDが採択した3000件近い研究課題のうち、非臨床試験、治験へと進む実用化を見据えたテーマは、原則的にPMDAの薬事戦略相談を受けることを条件とするなど、合理的な規制方針と出口戦略を明確化することで、効率的に新薬を創出できる体制づくりに取り組む。今後、年2回程度の定期的な会合を開いて連携を強化していく。
今回の連携協定により、AMEDは実用化を目指す研究課題の採択に当たって、契約時に採択1~2年後に薬事戦略相談を受けることを条件づけ、出口戦略を見据えた研究を増やす。また、AMEDが研究課題の進捗管理や評価を行う時に、PMDAと相談記録を共有したり、PMDAから相談結果を踏まえた助言を受けることで、実用化視点からの研究評価を強化する。
AMEDからPMDAに対し、最新の研究動向を伝えたり、PMDAから信頼性調査に関する標準手順書(SOP)の共有やAMED勉強会への講師派遣に加え、医薬品の規制動向や薬事戦略相談、治験の実施動向等の情報を共有していく。
さらに、AMEDが実施しているCRCやデータマネジャーの研修事業に対し、PMDAからの講師派遣も行う予定。
協定締結後に記者会見したAMEDの末松誠理事長は、「イノベーションの推進とレギュラトリーサイエンスは、アクセルとブレーキの関係ではなく、スムーズなギアチェンジで、確実に研究開発が前進するメリハリの効いたイノベーションを実現していくことが重要」との考えを示し、「PMDAとの連携により、最大効果が期待できる」と述べた。
PMDAの近藤達也理事長は、「革新薬等の創出を効率的に進めるためには、AMEDが支援するアカデミアの研究段階から、規制方針を踏まえた研究開発戦略の構築が必要。そこにPMDAが役に立てるし、最新の研究開発の動向を踏まえ、合理的な審査、相談を行わなければならない」と強調。
そのためには、AMEDとPMDAが持つ機能の相互活用が不可欠とし、「本当に深く相互の関係を作って、実りある関係にしていきたい」と連携に期待感を示した。
AMEDとPMDAは、協定当日の19日に初の意見交換会を開き、今後の連携事項を確認。今後、年2回の定期的な会合を持ち、情報共有を図りながら、連携を強化していく考えだ。