患者のPD-L1発現量と抗腫瘍効果に相関性
スイスのロシュ社は8月17日、主要な大規模第2相国際共同治験であるBIRCH試験において、開発中の免疫チェックポイント阻害剤であるatezolizumab(MPDL3280A;抗PD-L1抗体)が、PD-L1陽性の局所進行または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者の腫瘍を縮小し、主要評価項目(ORR)を達成したことを発表した。また同試験では、患者のPD-L1発現量と抗腫瘍効果に、相関性があることを確認。副作用は、これまでに行われた試験で観察されたものと同様だったという。
BIRCH試験は、多施設共同非盲検シングルアームの第2相国際共同治験であり、PD-L1の発現が認められた局所進行または転移性のNSCLC患者667名を対象としてatezolizumabの有効性および安全性を検証した。PD-L1の発現については、腫瘍細胞(TC)および腫瘍浸潤免疫細胞(IC)での発現の有無を、ロシュ社の診断薬部門が開発中の免疫組織化学染色法(IHC)により判定を行った。
この診断に基づき、IHCスコアがTC2/3もしくはIC2/3の患者をPD-L1陽性とした。同試験では、3週間毎にatezolizumab1,200mgの静脈内投与を行い、主要評価項目であるORRの検討を実施。また、副次的評価項目には、奏効期間(DoR)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)と安全性が含まれていたという。
画期的治療薬指定のもとで、他試験の結果についてもFDAと協議を予定
今年初めに、FDAはatezolizumabに対し、標準化学療法(白金製剤ベースの化学療法、EGFR遺伝子変異陽性またはALK陽性肺がんに対しては適切な分子標的療法)施行中または施行後に病勢が進行したPD-L1陽性NSCLC患者への投与について画期的治療薬の指定を行った。この指定は、重篤または致命的な疾患や症状を治療する薬の開発および審査の促進を目的として導入された制度である。
ロシュ社は現在、早期~進行ステージのNSCLC患者における新たな治療薬として、atezolizumab単剤もしくは他剤との併用における有用性を検証するために7つの第3相臨床試験を実施しているという。
なお、今回のBIRCH試験について、詳細な結果は今後開催される医学会で発表される予定。規制当局と同試験成績だけでなく、他に行われた肺がんの試験成績も含めて議論していきたいと同社は述べている。
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・中外製薬株式会社 プレスリリース