東日本大震災での教訓を生かし、防災対策を検討
日本小児アレルギー学会(JSPACI)は8月17日、大規模災害対策におけるアレルギー用食品の備蓄に関する提案の作成を発表した。同学会の災害対応ワーキンググループでは、4年前に発生した東日本大震災での教訓を生かすべく、アレルギー疾患の子どもへの防災対策を種々の角度から検討していた。
同学会が行った調査では、発災当初、ミルクアレルギーの乳児に飲ませるアレルギー用のミルクが手に入らない、成分表示がないため避難所の食事が食べられないなどの状況があったことが明らかとなった。食物アレルギー患者が避難所の食事でアナフィラキシーを起こすなどの二次被害を予防するための対策が求められており、食物アレルギー患者も避難所で安全に過ごすことができるよう、自治体向けにアレルギー用ミルクと米の備蓄に関する提案をまとめたという。
アレルギー用ミルクやアルファ化米の備蓄を呼びかけ
一般の人工乳が飲めないミルクアレルギーの乳幼児に関しては、ニューMA-1(森永乳業)等、乳たんぱく質消化調整粉末を、通常の備蓄用ミルクの3%準備することを提案。ミルクを配布する際にはミルクアレルギー児を優先させるが、ミルクアレルギーでない児でも飲むことができるため、必要によっては一般の乳児にも配布可能としている。
また、小麦アレルギーの子どもたちへの主食提供に関しては、特定の品目は指定しないものの、アルファ化米を準備することを提案。備蓄量は、小児の2%分とした。幼児の約1%、学童の約0.3%が小麦アレルギーと推計されており、アルファ化米は一般の小児も食べられ、お湯や水を入れただけで食べられることから、自治体における小児の約2%分を備蓄することが妥当と考えたという。
同学会は、学会員や医療関係者、各自治体に向け、災害時に食物アレルギーの子どもたちが窮地に陥らないよう、同提案に関する周知と活用を呼びかけている。
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