Neurimmune社からライセンス取得した「Aducanumab」
米国のバイオジェンは7月22日、ワシントンDCで開催された2015年国際アルツハイマー病会議(AAIC(R)2015)で、アルツハイマー型認知症治療薬候補「Aducanumab」(BIIB037)の第1b相試験の中間解析結果を発表した。
Aducanumabは、現在同社が開発中のアルツハイマー型認知症治療薬候補。Reverse Translational Medicine(RTM)と呼ばれるNeurimmune社の技術基盤を活用し、認知障害の兆候がない健康な高齢者ドナーと、認知障害はあるが認知機能の低下が非常に緩やかな高齢者ドナー集団からスクリーニングされたヒト型遺伝子組換モノクローナル抗体(mAb)である。同社は共同開発およびライセンス契約に基づき、Neurimmune社から同剤のライセンスを取得していた。
第1b相無作為化二重盲検プラセボ対照反復投与試験であるPRIME試験では、前駆期もしくは軽度のアルツハイマー病患者を対象に、同剤の安全性、忍容性、薬物動態(PK)、薬力学(PD)、臨床効果を評価している。被験者の内訳は1mg/kg群(n=31)、3mg/kg群(n=33)、6mg/kg群(n=30)、10mg/kg群(n=32)、プラセボ群(n=40)となっている。
投与量6mg/kg群の54週間のデータを追加
1mg/kg群、3mg/kg群、10mg/kg群について、2015年3月に発表した解析結果では、54週間経過した時点でプラセボ群と比べて、アミロイドβが用量と時間に応じて減少し、症状悪化が抑制。6mg/kg群については26週間までのデータが報告され、プラセボ群に比べてアミロイド斑が減少していた。
今回、AAICで発表された解析結果には投与量6mg/kg群の54週間のデータが加わった。前回発表済みの解析結果と同じく、脳内アミロイドβの減少が統計学的に有意であることが示されたという。また、探索的な解析では、ミニメンタルステート検査(MMSE)と臨床的認知症重症度判定尺度(CDR-SB)で評価されたとおり、6mg/kgの投与で症状悪化の抑制が認められたが、十分に有意ではなかったとしている。プラセボ群とすべてのaducanumab投与群を対象とした解析では、症状悪化の抑制は用量依存的であり、この用量依存性は上記のどちらの評価尺度においても統計学的に有意だった。
前駆期もしくは軽度のアルツハイマー病患者に対して、同剤が画像上もしくは臨床上の評価において、許容可能な安全性プロファイルと有望な有効性を示すものであり、これは前回の発表結果を裏打ちする結果だという。なお、同試験は現在も継続中。そのほか、用量漸増法による試験も進行中としている。
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・バイオジェン・ジャパン株式会社 プレスリリース