仕事と治療の両立についてのアンケート調査を実施
不妊症患者をはじめ不妊で悩む人をサポートする体験者によるセルフサポートグループのNPO法人Fine(Fertility Information Network=ファイン)は、不妊治療に関心のある2,265人(うち95.0%が不妊治療経験者)を対象に、仕事と治療の両立についてのアンケート調査を実施、その結果を発表した。その結果、働きながら治療を行なう多くの女性が、仕事と治療を両立させるためのサポートを得にくく、困難を感じていることが判明したという。
画像はリリースより
ファインが2012年に実施した「不妊治療の経済的負担に関するアンケートPart2」(回答者数1,993人)では、不妊治療における「経済的負担」の現状が明らかになり、治療費の捻出のために「仕事」は続けたいけれど、不妊治療との両立には大きな困難が伴うという声が多く寄せられた。そこで、今回の調査は「仕事と不妊治療の両立」をテーマに、治療との両立を困難にしている原因を掘り下げることを目的に行われた。
「職場に不妊治療をサポートする制度がある」は、わずか6%
不妊治療をしながら仕事をしたことのある経験者のうち 91.9%が「仕事と治療の両立は困難である」と感じたことがあり、そのうち42.3%が退職を含む何らかの勤務形態の変更を行なったという。
また、「職場に不妊治療をサポートする制度がある」と答えたのは5.9%にとどまった。制度として求められているのは、休暇・休業制度やフレキシブルな就業・雇用形態だということがわかった。
今回の調査から、高額な不妊治療費を捻出するために働き続ける当事者が多いが、不妊治療と仕事の両立には大きな困難を伴っており、当事者は板挟みになっているという事実が浮かび上がった。政府も企業も女性の社会進出を推し進める一方で、それをサポートする制度が整っていないという現状がある。以上の調査により明らかになった当事者の現状は、不妊の啓発のために周知を図るとともに、国政への働きかけに使用する予定だ。
同報告では、少子高齢化社会において、不妊治療に限らず、育児や介護中でも柔軟な雇用・就業形態の整備、及びそれらを気兼ねなく利用できる組織・社会風土が必要とされており、社会全体としてそれをサポートすべきと、発表をまとめている。
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・NPO法人Fine プレスリリース