予後不良群を同定し、免疫チェックポイント療法の有効性を示唆
国立がん研究センター(NCC)は8月11日、大規模な胆道がんのゲノム(DNA)ならびにトランスクリプトーム(RNA)解読を行い、新たな治療標的となりうる新規ゲノム異常や発生部位(肝内および肝外胆管、胆のう)ごとの特徴を明らかにしたと発表した。また、遺伝子発現データから予後不良群を同定し、同群で免疫チェックポイント療法が有効である可能性を報告した。
画像はリリースより
この研究は、国際共同ゲノムプロジェクト「国際がんゲノムコンソーシアム」(International Cancer Genome Consortium:ICGC)の一環として、同センターのがんゲノミクス研究分野の研究グループが厚生労働省ならびに2015年度からは日本医療研究開発機構(AMED)の「革新的がん医療実用化研究事業」の支援を受けて行ったもの。国際科学誌「Nature Genetics」電子版に、8月10日付で発表された。
胆道がんの約40%に治療標的となりうるゲノム異常が存在
今回、研究グループは、世界最大規模となる260例の臨床検体について解析を行った。その結果、同定した胆道がんにおけるゲノム異常の中には、少なくとも14個の治療標的(すでに治療薬の臨床開発が進められているもの)となりうる遺伝子が含まれていたことがわかった。さらに、それらのゲノム異常を少なくとも1つ持つ腫瘍は、全体の約40%を占めていることがわかった。これらのゲノム異常を標的とした治療薬が胆道がんに対して有効かどうかは、臨床試験によって検討を重ねる必要があるものの、とりわけ日本人における胆道がん治療開発を進めていく上で、重要な情報基盤となると期待される。
また、近年大規模臨床試験においてメラノーマや肺がんに対する有効性が示されている免疫チェックポイント阻害薬が、他のがんに対しても開発が進められている。今回の研究結果から、一部の胆道がんにおいても免疫チェックポイント阻害薬に反応する可能性が示唆されたことから、今後、胆道がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の開発推進が期待される。
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・国立がん研究センター プレスリリース