ハイリスク患者や家族性高コレステロール血症患者のニーズに応え
サノフィ株式会社は8月6日、開発中の高コレステロール血症治療薬「alirocumab」について、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを発表した。
現在、高コレステロール血症の治療薬を服薬している患者は約1370万人に上ると言われている。しかし、そのうちの約340万人、およそ4人に1人の患者は、標準治療を行っているにもかかわらずLDLコレステロールが動脈硬化学会の定める管理目標値に達していない状態だ。
こうした状況から、LDLコレステロールの管理の重要性はますます高まる一方だが、現在の治療法では十分な効果の得られないハイリスクの患者や、遺伝的に高LDLコレステロール血症を呈する家族性高コレステロール血症患者においては、未だアンメットメディカルニーズが存在していた。
米国では「Praluent(R)」のブランド名で承認取得
開発中のalirocumabは、PCSK9(前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)を標的とする、完全ヒトモノクローナル抗体。PCSK9は主に肝細胞より分泌されるタンパク質で、血中のLDLコレステロール値に影響を与えることが知られている。具体的には、PCSK9がLDL受容体に結合し、その分解を促進。その結果、血中の過剰なLDLコレステロールを取り込むLDL受容体の数が減少し、血中LDL-C値が上昇するという。
今回の申請は、第3相ODYSSEY JAPAN試験を中心とする日本独自のalirocumab臨床開発プログラムの結果に基づいている。同試験は、スタチンを含む既存の脂質低下療法を受けているにも関わらずLDLコレステロール管理目標値を達成できないヘテロ接合性家族性高コレステロール血症(heFH)、又は心血管イベントリスクを有する高コレステロール血症の日本人患者を対象に、標準治療に加えてalirocumabを投与する群(n=144)とプラセボを投与する群 (n=72)で比較を実施。試験の主要評価項目とした24週目時点でのLDLコレステロールのベースラインからの変化率は、標準治療のみのプラセボ群に比べてalirocumab群では-64%だった。また、alirocumab投与群の97%は24週目時点のLDLコレステロール値が管理目標値を達成したのに対し、プラセボ群では10%だったという。
なお、同剤は「Praluent(R)」のブランド名で、高コレステロール血症治療薬として2015年7月24日に米国で承認を取得。また、欧州医薬品庁(EMA)ではEUにおけるalirocumabの製造販売承認申請を審査中だ。
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・サノフィ株式会社 プレスリリース