単純ヘルペスウイルス1型の弱毒型自然変異株
タカラバイオ株式会社は8月4日、メラノーマや皮膚の扁平上皮がんなどの固形がんを対象に、腫瘍溶解性ウイルスHF10(開発コード:TBI-1401(HF10))の第1相臨床試験を日本国内で実施し、8月3日に第1例目の被験者へHF10の投与が行われたことを発表した。
腫瘍溶解性ウイルスとは、正常な細胞内ではほとんど増殖せず、がん細胞内において特異的に増殖するウイルスのこと。増殖によって直接的にがん細胞を破壊し、さらにその際に放出されたウイルスが周囲のがん細胞に感染すること、また、破壊されたがん細胞の断片ががんに対する宿主の免疫を活性化することで、投与部位以外のがんも縮小することが期待される。単純ヘルペスウイルス1型のほか、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、レオウイルス等から作られた腫瘍溶解性ウイルスの開発が行われている。
今回同社が開発を進めている腫瘍溶解性ウイルスHF10は、単純ヘルペスウイルス1型の弱毒型自然変異株。がん局所に注入することによって顕著な抗がん作用を示すという。
2018年度の商業化を目標に開発中
タカラバイオは、国立がん研究センター中央病院にて、HF10を反復投与した際の安全性などの評価を行う第1相臨床試験を進めている。症例数は6例で、2016年3月期に終了する予定だ。
同社は、2010年11月にHF10事業を株式会社エムズサイエンスより取得。日本では再生医療等製品として開発を進めている。現在、米国にてHF10のメラノーマを対象とした第2相臨床試験も進めており、HF10の2018年度の商業化を目標に、引き続き臨床開発を推進していきたいとしている。
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・タカラバイオ株式会社 ニュースリリース