脳動脈血流フローを画像解析する「AneurysmFlow」
株式会社フィリップス エレクトロニクス ジャパンは8月5日、頭蓋内脳動脈瘤の低侵襲治療をサポートする、新アプリケーションツール「AneurysmFlow」の販売を同月3日から開始したと発表した。
画像はリリースより
同製品は、スイスのジュネーブ大学病院など複数の医療施設との共同研究により開発。同社のX線血管撮影装置のイメージガイダンス機能として設計された。脳動脈瘤の親動脈血管壁に沿ってフローダイバーターシステム留置する際に、システム留置前後の血流パターン変化を解析するための情報をリアルタイムに提供する。従来のイメージガイダンスでは、血流形態を客観的にリアルタイムに認識することが困難なため、フローダイバーターシステム治療の実施評価自体は難しかった。
AneurysmFlowでは、最初に血管内治療術中に取得した患者の脳血管構造のX線3次元再構成画像から、目的とする治療部位の最適な観察視野角度を設定。次に、造影剤を使用したX線DSA造影像を治療前後に取得する。脳頭蓋動脈瘤内部と親動脈血管内部の血流パターン変化を解析する事により、フローダイバーターシステム留置による治療実施前後の血流パターン変化評価を簡便にリアルタイムに実施できるといている。これにより、低侵襲治療現場での治療方針の最適化を支援することを目指すという。
頭蓋内脳動脈瘤治療時の低侵襲カテーテル治療をサポート
同製品の主な利点は、DSA画像にてオプティカルフロー法に基づき、脳動脈瘤内部とその親動脈血管内部の血流パターンの変化を画像化できる点、親血管内部と脳動脈瘤内部での血流量を定量化できる点、また、治療前後の平均動脈瘤内血流量比値の算出が可能になる点にある。
これらの利点により、治療中に長期的な治療効果の予測ができるとの最近の研究発表もあり、これまで以上に患者に優しく効率的で対費用効果の高い血管疾患治療に寄与することが期待できるとしている。
なお、同製品の希望販売価格は2000万円(税込、仕様により異なる)。同社は国内初年度の販売台数を約30台と見込んでいる。