厚生労働省は5日、急性期病院で入院基本料を算定するための要件となる一般病棟の「重症度、医療・看護必要度」を評価する項目のうち、抗癌剤の内服管理については、看護師だけでなく薬剤師が実施した場合も評価対象とする論点を、中央社会保険医療協議会の入院医療等の調査・評価分科会に示した。
急性期病院で診療報酬の入院基本料を算定するためには、各医療機関が対象となる病棟で「重症度、医療・看護必要度」を測定し、基準を満たす患者の割合を届け出る必要がある。
現行の評価方法では、評価対象の処置・介助等、医師の補助の実施者は、病棟に所属する看護師等でなければならないとされており、看護師以外の職種が病棟で処置を実施した場合は、評価対象となっていない。
評価の根拠についても、医師の指示記録と看護師等による記録だけが評価対象となっている。
ただ、チーム医療の推進に伴い、薬剤師や理学療法士等の様々な職種が病棟で活動する機会が増えている中、看護師以外の職種が実施することのある処置の例として、評価項目の一つであるモニタリングおよび処置等の項目のうち、「専門的な治療・処置」にある抗癌剤の内服の管理が示された。
これは、薬剤の使用に関する指導や内服確認、内服後の副作用の観察などの処置が評価対象となることから、看護師ではなく、薬剤師が実施することが考えられるとした。
もう一つの評価項目である患者の状態等の項目のうち、寝返りが自分でできるかどうか、何かにつかまればできるかどうかの「寝返り」の評価については、理学療法士、作業療法士等が実施すること、食事介助の状況を評価する「食事摂取」の項目についても管理栄養士が実施することが考えられるとした。
さらに、口腔内を清潔にするための一連の行為を自分でできるかどうか、見守りや介助を行っているかどうかを評価する「口腔清潔」の項目については、歯科衛生士が行うことを例示。
チーム医療が推進されている中で、こうした看護師以外の職種が実施した処置などについての「重症度、医療・看護必要度」を評価していく方向性を論点に示した。