既存SSAと比較し、成長ホルモンとIGF-1のコントロールを達成
ノバルティス ファーマ株式会社は7月31日、ソマトスタチンアナログ(Somatostatin analogues:SSA)製剤であるパシレオチドパモ酸塩(開発コード:SOM230)について、先端巨大症および下垂体性巨人症の治療薬として、国内における製造販売承認申請を行ったことを発表した。
パシレオチドは、ホルモンを過剰分泌する先端巨大症など固形腫瘍で発現が亢進しているソマトスタチン受容体に結合、活性化することにより、ホルモン分泌を抑制する。手術が適応とならない又は手術で効果が不十分な、薬物治療歴がない、あるいは既存SSAの薬物治療でコントロール不良な、先端巨大症や下垂体性巨人症の患者を対象とした国内外の臨床試験において、パシレオチドは既存SSAと比較し、より多くの患者で成長ホルモンとインスリン様成長因子(IGF-1)のコントロールを達成し、さらに著明な腫瘍体積の縮小、先端巨大症の臨床症状の改善傾向などを示したという。
EUと米国では2014年に承認を取得
先端巨大症は、脳下垂体に発生する非がん性(良性)の腫瘍により、成長ホルモンおよびIGF-1が過剰に分泌され、手足や内臓の肥大、顔貌の変化といった、先端巨大症状を伴う身体的変化がみられる希少な内分泌疾患。下垂体性巨人症は、骨端軟骨線閉鎖前の成長ホルモン過剰分泌により、著しい身長増加が認められる。
これらの疾患により成長ホルモンの過剰分泌が長期にわたると、糖尿病、高血圧、心疾患、関節炎、大腸がんなど、死亡リスクの上昇につながる重篤な転帰に至る可能性もある。両疾患ともに国内では「下垂体性成長ホルモン分泌亢進症」として難病指定とされている。
先端巨大症の治療目標は、成長ホルモンとIGF-1値を抑制し、症状の改善や合併症の罹患率を減少させて死亡率を下げること。治療の第一選択である外科手術が適応とならない患者や、手術後も成長ホルモンやIGF-1のコントロールが不良な場合には薬物療法や必要に応じて放射線療法が行われる。近年の調査では、先端巨大症の患者の45%が既存の治療によって適切な成長ホルモン値や正常なIGF-1値を達成できていないことが判明しており、既存治療では効果が十分とは言い難いのが現状だった。
なお、パシレオチドは、2014年11月にEU(欧州連合)で、手術で効果が不十分又は施行が困難でかつ、既存のSSAでは適切に管理できない先端巨大症の患者に対する治療薬として承認されたほか、同年12月には米国において手術で効果が不十分又は施行が困難な先端巨大症の患者に対する治療薬として承認を取得している。
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・ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース