新指針に則した臨床・疫学研究を行うための体制整備は、29日に開かれた都道府県会長協議会で、「臨床及び疫学研究に関する倫理審査に関わる検討委員会」の大森栄委員長が説明した。
新指針は、文部科学省の「疫学研究に関する倫理指針」と厚生労働省の「医学研究に関する倫理指針等について」の二つの指針を統合したもので、研究結果の信頼性を確保するため、新たに研究責任者に対し、第三者のモニタリングと監査を受けることなどを義務づけている。
今後は、この指針に則って臨床・疫学研究を実施することが求められており、薬剤師による学会発表や論文投稿などにおいても、倫理審査を受けることが必須となるケースが出てくることが想定される。
これを受け、同検討委員会では、新指針に基づいて臨床・疫学研究を行うための体制を整備した。臨床・疫学研究推進委員会では、倫理審査を申請する前段階で、臨床・疫学研究や倫理審査にかかる申請の支援や、研究計画書の作成にかかる支援を行う。また、実際に申請のあった臨床・疫学研究について構成員が倫理審査を行い、「非該当」「迅速審査」「通常審査」などの判定を行う。
大森氏は、10月16日に日薬で臨床研究に関する担当者全国会議を開催することや、会員の研究倫理に関する知識や認識の底上げを図るため、e‐ラーニングコンテンツの制作、配信を行うことなどを明らかにした。
■分業への理解深める活動を‐山本会長
この日の会議で山本信夫会長は、政府が6月に閣議決定した骨太の方針などで、財政健全化という大きな枠組みの中で、調剤報酬だけが抜本的に見直すとされたことについて、「いささか気になっている」とする一方、医薬分業について、「今後とも進めていく」と明記されたことに触れ、「分業が完全否定されていないことについては、ホッとしている」と述べた。
しかし、「薬剤師、薬局に対する批判は厳しいものがある」とし、「地域住民の理解を得られるような行動をお願いすると共に、われわれもそれを支えるような施策を進めていきたい」と協力を呼びかけた。