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ICF症候群の新たな原因遺伝子を発見、90%以上の患者の原因遺伝子を特定-九大

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2015年07月31日 PM01:00

DNMT3B、ZBTB24に続く、第3、第4の遺伝子変異を特定

九州大学は7月29日、同大生体防御医学研究所エピゲノム制御学分野の佐々木裕之所長(副学長・主幹教授)らの研究グループが、常染色体劣性遺伝病である先天性免疫不全症候群()の新しい原因遺伝子として、CDCA7とHELLSの2つを発見したと発表した。


画像はリリースより

この研究は、同大学研究所情報生物学分野の須山幹太教授らのグループ、オランダのLeiden大学メディカルセンターの Silvère M. van der Maarel教授らのグループ、およびフランスのParis Diderot大学のClaire Francastel教授らのグループとの共同研究によって明らかとなったもの。研究成果は、英科学雑誌「Nature Communications」に7月28日付でオンライン掲載されている。

ICF症候群は、免疫不全、染色体の不安定性、軽度の顔貌異常を特徴とした常染色体劣性遺伝病。先天性の免疫不全症候群に分類され、この患者では免疫応答に必要な成熟したBリンパ球ができず、多くの人が重度の感染症により幼少期に亡くなるが、感染を予防するには、早期に確定診断をして治療を開始することが重要となる。

これまでに、ICF症候群の患者の約半数で、DNAメチル化酵素のDNMT3B遺伝子に変異が見つかっており(1型ICF症候群)、さらにおよそ1/4では、ZBTB24遺伝子に変異が見つかっていた(2型ICF症候群)。しかし、残りの約1/4については原因遺伝子が不明であり、これらの患者の原因遺伝子を見つけることで、早期のICF症候群の確定診断による適切な治療選択に貢献できることが期待されていた。

次世代シーケンサーを用いたエキソーム解析で原因遺伝子を探索

今回、研究グループはすでに発見されているDNMT3BとZBTB24遺伝子に変異がないICF症候群の患者13人の血液からDNAを採取。最新の次世代シーケンサー機器を用いたエキソーム解析で原因遺伝子を探索した結果、CDCA7、あるいはHELLSという遺伝子に変異を持つ患者が5人ずつ見つかったという。

そこで同グループは、CDCA7遺伝子の変異が原因のICF症候群を3型、HELLS遺伝子の変異が原因のICF症候群を4型と分類。マウス胎仔の線維芽細胞で、これら2つの遺伝子の働きを抑制する実験の結果、CDCA7とHELLSがICF症候群の新たな原因遺伝子であることが明らかとなった。

今回の研究により、90%以上のICF症候群患者の原因遺伝子がわかり、早期の確定診断が可能となった。ICF症候群の確定診断の早期化に役立つばかりではなく、CDCA7がどのように動原体のDNAメチル化に関わるのかを解明することで、染色体の安定性や免疫細胞の分化の機構が明らかになると考えられる。

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九州大学 プレスリリース

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