名称のほかに、ともに産婦人科で使用される薬剤であることが取り違えの一因か
アボット ジャパン株式会社と日本化薬株式会社は、両社がそれぞれ販売する「デュファストン錠」と「フェアストン錠」で薬剤の取り違え事例が2例発生したことを受けて、注意喚起を促すリリースを医療従事者向けに発出した。
アボット ジャパンが販売する「デュファストン(R)錠」(一般名:ジドロゲステロン)は、切迫性流産や月経周期異常、子宮内膜症などが適応。一方、日本化薬が販売する「フェアストン(R)錠」(一般名:トレミフェンクエン酸塩)は、閉経後乳癌が適応で「劇薬」に指定されている。
同一棚の同一列に配置。抗癌剤を示す表示はなく…
医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページで公開されている2例の取り違え事例は以下の通り。
【1例目】
産科・婦人科医師が「デュファストン錠5mg」を処方したところ、薬剤部が「フェアストン錠40」を調剤。2日後に、患者本人が違う薬であることに気づき、薬剤部に連絡を取った。両剤は、使用頻度の低い同一棚の同一列に配置。フェアストンにハイリスク薬を示す「H」の文字は付いていたが、抗癌剤を示す表示はなかった。さらに、同一薬剤師が処方箋監査と調剤を行い、別の薬剤師が調剤監査のみを行ったことに加え、調剤時に処方箋を見ながらピッキングを行わなかったことが分かっている。その他にも調剤監査時の薬剤名の未確認や、薬剤交付時に患者への説明・指導を行わなかったことが、調査の結果、明らかになった。
【2例目】
「フェアストン錠40」のところ、「デュファストン錠5mg」を調剤。患者から電話連絡があり、間違いが発覚、すぐに薬剤を取り換えた。類似の薬剤名、産婦人科で使用される薬剤であることによる思い込みで調剤したことが背景に。
両社はリリースで両剤の包装写真を掲載するとともに、それぞれの会社でも問い合わせを受け付けている。