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つくば臨床医学研究開発機構、オール筑波でARO発足-開発型臨床研究を強力支援

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2015年07月22日 AM10:30


■起業家も育成、次のシーズへ

産官学の研究所が集結する筑波研究学園都市のシーズ実用化に向け、開発型の臨床研究を進める支援組織「つくば臨床医学研究開発機構」()が発足した。これまでアカデミアで進んでいなかった出口を見据えた開発戦略の新たな支援体制を整備することで、筑波大学等の国際的な研究成果を実用化につなげたい考え。若手研究者向けの「リサーチスタジオ」を開講し、起業家育成にも取り組み、次世代の人材を育てることにより、シーズを生み出す日本の“リサーチ・トライアングル”を研究学園都市で形成していく構想も広がる。

研究学園都市には、筑波大学をはじめ、産業技術総合研究所、物質・材料研究機構、高エネルギー加速器研究機構、理化学研究所バイオリソースセンター等の大学や国の研究所、アステラス製薬やエーザイの製薬企業研究所、理研発ベンチャー企業のセルメディシンが集結。創薬や医療機器につながるシーズが多く研究され、つくばライフサイエンス推進協議会の活動をはじめとする活発な連携活動も行われてきたが、これまで実用化につなげるための支援体制は十分に整っていなかった。

そこで、治験等の実施支援を行ってきた旧付属病院の「臨床研究推進支援センター」、臨床研究のデータセンター業務を支援してきた旧医学医療系の「次世代医療研究開発・教育統合センター」等を再編し、従来からの業務を継承すると共に、未整備だった薬事、研究マネジメントやガバナンス体制を強化。研究者や起業家の育成にも乗り出し、研究学園都市のシーズ育成と出口戦略を進めるための支援体制を、筑波大学病院内に新設した。今後、専任職員を57人体制まで拡充し、研究学園都市と一体的なAROとして開発型の臨床研究を加速させる。

同機構では、研究開発マネジメント部と監査・信頼性保証室を新設。窓口を一本化し、研究開発の進捗管理や人材育成、大型予算の獲得から知的財産、財務管理までの支援を行うと共に、外部委員の参加によるガバナンスも確保した。

荒川義弘機構長は、「いま、アカデミアに足りない支援体制は、医師主導治験などの開発型の臨床研究。これを支援することにより、研究学園都市の豊富なシーズを実用化につなげていきたい」と意欲を示す。

実際、筑波大学には、睡眠を制御する物質「」を世界で初めて発見した国際統合睡眠医科学研究機構の柳澤正史教授、世界初のサイボーグ型ロボットであるロボットスーツHALを開発したサイバニクス研究センターの山海嘉之教授をはじめ、国際的な成果を上げている研究者が活躍している。

こうした研究成果を生かし、既にHALを用いた脳卒中回復期リハビリ療法の医師主導治験を準備中であり、産総研と茨城県立医療大学等によるFGF被覆創外固定用ピンを用いた徐放性DDS生体材料の医師主導治験、筑波大病院による脳動静脈奇形に対する陽子線治療の医師主導治験も計画中である。

さらに、セルメディシンによる癌ワクチン、製薬企業等による新規癌診断薬の臨床研究など、8件の臨床開発パイプラインが控える。

荒川氏は「筑波の研究者は層が厚く、ベンチャー企業も含めて非常に強力な人材が揃っている。かつて筑波の製薬研究所に勤務していたシニア研究者の技術、ノウハウも生かしていきたい」と話す。

今後は、同機構の新体制に移行を進めつつ、まずパイプラインの臨床開発を着実に進め、その成果を出していくことを優先課題に挙げる。将来的には、若手研究者や起業家を育成することにより、次のシーズ創出を目指す。

荒川氏は「もともと筑波に対する期待は大きく、米国のリサーチ・トライアングルのような要素がある。ほど良い広さのエリアに大学や研究所が集中している研究学園都市の連携のしやすさを生かし、なるべく早く結果に結びつけたい。それを通じて、科学立国にふさわしい研究者、起業家を育てていきたい」と話している。

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