疑義照会を不要としたのは、[1]成分名が同一の銘柄変更[2]剤形の変更[3]別規格製剤がある場合の調製規格の変更[4]服薬管理等の面から必要と判断して実施する保険請求を伴わない半割、粉砕、混合等の調製[5]同様の一包化調製[6]貼付剤や軟膏類の包装、規格の変更(クリーム5g4本を10g2本に変更など)[7]残薬の調整での処方日数の短縮――の7項目。
いずれも疑義照会を受けた場合に処方医がほぼ間違いなく合意する項目だ。これら7項目については、患者の声を十分に聞いて同意を得た薬局薬剤師の判断に委ね、形式的な疑義照会の手間を省いて、事後にFAXで変更内容の報告を求める形にした。
取り組むきっかけになったのは京都大学病院の事例だ。同院は13年10月から、合意書を交わした薬局を対象に、疑義照会の一部を不要とする運用を開始した。この仕組みは、薬局での待ち時間短縮、処方医の負担軽減、薬局薬剤師の患者指導の充実に役立つとして、半田病院薬剤科と地域の薬剤師会が協議を重ね、7項目については「包括的に薬剤師法第23条第2項に規定する医師の同意がなされたとして、個別の処方医への同意の確認を不要とする」と定めた確認書を策定した。
同院と知多薬剤師会、美浜南知多薬剤師会がそれぞれ確認書を交わし、昨年9月から運用を開始した。各会の会員薬局計90軒に確認書の記載事項が適応されている。
運用開始から約10カ月が経過した。開始前5カ月間の疑義照会件数は662件(院外処方箋発行枚数の1・2%)だったのに対し、開始後今年2月まで5カ月間の件数は616件(1・13%)だった。減少傾向は認められるものの、現在のところ疑義照会件数に大きな変化はない。
ただ、「残薬の調整での処方日数の短縮」に関する疑義照会件数は、開始前は102件だったが、開始後は51件に減少し、効果が認められた。さらに、事後報告を含めると開始後は合計で221件に増えていた。「これまでは次回外来受診時に調整するよう伝えていた場合でも、病院に問い合わせて患者さんを待たせることがなくなったため、薬局薬剤師が残薬調整に積極的に関わるようになったのではないか」と同院薬剤科の横田学氏は語る。
同院薬剤科は今後、薬局薬剤師の在宅医療への参加を後押しする勉強会や講習会を開いたり、退院時カンファレンスへの参加を呼びかけたりして、薬薬連携を推進したい考えだ。