胚発生の過程での管上皮の形成メカニズムを解明
京都大学は7月3日、胚発生の過程で管組織がどのように形成されるかのメカニズムについての研究成果を発表した。この研究は、同大学の高橋淑子理学研究科教授(理事補)らの研究グループによるもの。研究成果は、英生物学専門誌「Development」誌に、6月30日付けで掲載されている。
画像はリリースより
人間のほぼすべての臓器は、さまざまな管組織(管上皮)で埋め尽くされており、これらの管上皮が臓器の生理機能を発揮する上で非常に重要な役割を担っている。この管上皮形成の異常が、さまざまな臓器不全につながると想像されているが、そもそも管上皮の形成がどのようなメカニズムによって制御されているか、これまでの研究ではほとんどわかっていなかったという。
管上皮の伸長機構に、腎管の先端細胞にある「FGF8」が関与
同研究グループは、生きたままの胚内で組織形成を詳しく調べることができるニワトリ胚を材料に用いて、腎管とよばれる管をモデル系として研究を実施。その結果、FGF8とよばれる分泌因子(蛋白質)が、伸びる管の先端細胞を誘引することがわかったという。
その一方、FGF8が作用しないと、腎管細胞は積極的に上皮化をおこして、安定な管構造を作った。つまり、FGF8の濃度勾配が細胞のふるまいを決めていたという。さらに解析を進めたところ、FGF8の勾配はある場所に固定されたものではなく、発生と共にその位置を変えることが判明した。これにより、この勾配シフトに従って腎管の伸長が決まる、つまり胚成長と腎管伸長が同じスピードで進むということが解明されたという。
この研究成果は、世界初のミクロ(管組織形成)とマクロ(体全体の成長)との連動メカニズムの発見である。腎管の形成は、腎臓のみならず、将来の卵管や輸精管などの生殖機能とも深い繋がりがあるといわれている。特に卵管になる組織は、先にできた腎管に沿って作られているため、腎管から卵管に働きかけるシグナルの同定が急がれる。
同研究グループは、一旦作られた組織が、次に作られる組織の道しるべになるという「ドミノ現象」を、細胞機能として明らかにしたいとしている。そして将来的には、この成果が臓器不全治療や再生医療につながると期待している。
▼関連リンク
・京都大学 ニュースリリース