前回の検討会では、名称に用いられている「拠点」について、委員から「イメージと合わない」「拠点ではなく、窓口ぐらいがいい」などの意見が出た。羽鳥裕委員(日本医師会常任理事)は、「高齢者はかかりつけ医を持っている」とし、患者のファーストアクセスは薬局ではなく、かかりつけ医になると主張するなど、ファーストアクセスの場といったイメージを持たせる「拠点」を名称に用いることに難色を示していた。
そのため、厚労省は暫定的に「健康づくり支援薬局」に変更し、別途、検討することを提案し、委員の合意を得た。羽鳥委員は「だいぶイメージしやすくなった」と評価した。
この日の会合で厚労省は、かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師が備えるべき機能について、「引き続き検討が必要」としながらも、▽患者の服用歴や服用中の全ての薬剤情報等の一元的な管理▽24時間対応、在宅対応▽かかりつけ医をはじめとした医療機関との連携――の三つを提示。
その上で、健康づくり支援薬局(仮称)の定義として、▽一般用医薬品や健康食品等の適正使用に関する助言▽地域住民から健康に関する幅広い相談を受け付け、必要に応じてかかりつけ医など適切な専門職種・関係機関への紹介▽地域住民の健康づくりへの積極的かつ具体的な支援――に取り組むことなどを挙げた。
この定義を踏まえ、支援薬局の要件を設定する際に検討する項目として、▽かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師としての基本的機能▽一般薬に関する助言や健康相談の応需、専門職種や関係機関への紹介を適切に実施できる▽個人情報に配慮した相談スペースの確保▽健康づくり支援薬局(仮称)であることの表示▽一般薬を一定数以上取り扱っている▽平日だけでなく、土日祝日も開局している▽薬剤師以外の多職種や関係機関(医療機関、行政機関など)との連携▽健康相談内容の記録作成――の八つを提示した。
一般薬の取り扱いについては、品目数が多い薬局ほど健康に関する相談件数が増える傾向があり、厚労省が提示した調査結果によると、取扱品目数が600~699の薬局で相談件数が最も多かった。
日本薬剤師会の森昌平副会長は、一般薬について、大分類で18の薬効、中分類で80の薬効に分類できると説明した上で、「それらの分類からまんべんなく揃えることが重要」と指摘した。
安藤高朗委員(全日本病院協会副会長)は、数多くの一般薬を揃えなければならなくなった場合、「小規模薬局の負担が大きくなる」との懸念を示し、「大手独占のような形にならないようにすべき」と配慮を求めた。