効果安全性評価委員会が実施した中間解析評価
富士フイルム株式会社は7月6日、テーラーメイド型がんペプチドワクチン「ITK-1」の前立腺がん患者を対象とする国内臨床第3相試験において、安全性に問題なく一定の効果がみられたと発表した。この評価は、第三者機関である効果安全性評価委員会が実施した中間解析評価で、これによって同試験の継続が認められたという。
同社は、2013年8月から同ワクチンの前立腺がん患者を対象とした国内臨床第3相試験を開始。現在、全国60か所以上の医療機関で同試験を実施しているという。なお、同ワクチンは、科学技術振興機構の2011年度「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)」に採択され、現在は同プログラムを引き継いだ日本医療研究開発機構(AMED)から支援を受けている。
新たな治療法として関心が高まる、がん免疫療法
がんの一般的な治療法には、抗がん剤投与、外科手術、放射線照射があるが、これらに次ぐ第4の治療法として「がん免疫療法」が注目されている。この「がん免疫療法」は、ペプチドや薬剤などを投与することで、生体の持つ免疫機能を高め、がん細胞を死滅させる治療法。抗がん剤投与や放射線照射と比べて副作用が少なく、延命効果も期待できることから、この治療法の研究開発が進められている。近年では、チェックポイント阻害薬による治療が、一部のがんに対して効果があることが証明されつつあるなど、がん免疫療法への関心は高まりを見せている。
ITK-1は、従来の1種類のペプチドを投与するワクチンとは異なる、テーラーメイド型のがんワクチン。多くのがんで発現しているペプチド12種の中から、血液検査により患者に最も適したペプチドを選択し組み合わせて投与することが可能という。ペプチドを抗原として投与し、患者がすでに持っているがん細胞に対する免疫機能を特異的に刺激することで、迅速に免疫機能を活性化させ、さらに病状が悪化する前にがん細胞を死滅させるという。これによって、従来のがんワクチンを上回る効果が期待されている。
今後同社は、同試験を加速させ、同ワクチンの早期の承認取得を目指したいとしている。
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・富士フイルム株式会社 ニュースリリース