世界で初めて承認された免疫チェックポイント阻害薬が日本で承認
ブリストル・マイヤーズ株式会社は7月3日、ヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体「ヤーボイ(R)点滴静注液50mg」(一般名:イピリムマブ(遺伝子組換え))について、根治切除不能な悪性黒色腫を適応として、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを発表した。
ヤーボイは、T細胞の活性化を抑制する調節因子である細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)の働きを阻害することで、活性化T細胞における抑制的調節を遮断し、腫瘍抗原特異的なT細胞の活性化と増殖を促進させ、腫瘍増殖を抑制する。また、制御性T細胞(Treg)の機能低下及び腫瘍組織におけるTreg数の減少により腫瘍免疫反応を亢進させ、抗腫瘍効果を示すと考えられている。
同剤は、根治切除不能な悪性黒色腫患者を対象とした海外第3相試験において、BRAF変異にかかわらず、対照群と比較して統計学的に有意な全生存期間(OS)の延長を示した世界で初めての薬剤。また、近年がん治療において大きな注目を集めているがん免疫療法と呼ばれる免疫チェックポイント阻害薬として世界で初めて承認された薬剤だ。
長期生存が期待できる新たな治療選択肢
ヤーボイは2011年3月、米国において切除不能又は転移性悪性黒色腫の適応で承認されて以降、欧州、オーストラリア、カナダを含めこれまでに世界50か国以上において承認を取得。また、多くの国で抗がん剤の治療歴に関わらず、根治切除不能な悪性黒色腫に対する標準治療として使用されている。
今回日本で承認された「根治切除不能な悪性黒色腫」の適応での用法・用量は、イピリムマブ(遺伝子組換え)として1日1回3mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注、となっている。また承認においては、「一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じる」ということも条件づけられた。
同社は、今回の承認によって、根治切除不能な悪性黒色腫とたたかう日本の患者に、長期生存が期待できる新たな治療選択肢が加わることになると期待を述べている。
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・ブリストル・マイヤーズ株式会社 ニュースリリース