抗エンドグリン抗体TRC105の眼科疾患治療剤
参天製薬株式会社は7月1日、米国のTRACON Pharmaceuticals, Inc.より導入した DE-122の滲出性加齢黄斑変性(wet AMD)を適応症とする治験許可申請を米国食品医薬品局(FDA)に行ったと発表した。
加齢黄斑変性(AMD)は中途失明の主な原因のひとつで、萎縮型(dry)、または滲出型(wet)のいずれかに分類される。滲出型の場合、網膜下で病的な新生血管が形成され、滲出液の漏出等により網膜の破壊や機能障害が起こり、視野の中心部に歪みや暗点がみられるようになる。さらに、症状が進行すると高度な視力障害に至る場合もある。Wet AMDは、先進国において高齢者の失明の主な原因になっており、全世界で患者数は増加傾向にあるとされている。
抗VEGF治療を補完するものと期待
今回、治験許可申請を行ったDE-122は、TRACON社が保有する抗エンドグリン抗体 TRC105の眼科疾患治療剤。エンドグリン(CD105)は血管内皮細胞に存在するレセプターであり、病態時に発生する新たな血管の形成プロセス(血管新生)に必須なタンパク。TRC105は、エンドグリンに対する抗体であり、TRACON社は全く新しいタイプのファーストインクラス抗がん剤として臨床開発中だという。
TRACON社は、TRC105が現行の抗VEGF治療を補完する新たな治療薬となることを期待し、米国国立癌研究所(NCI)のがん治療評価プログラム(CTEP)を活用しつつ、現在各種がん患者を対象にした複数の第2相臨床試験を実施。同様に、TRC105は加齢黄斑変性に対しても抗VEGF治療を補完するものと期待されている。
参天製薬は、2014年3月にTRC105の全世界の眼科領域における開発権をTRACON社より獲得。今回のDE-122の治験許可申請により参天製薬は、同契約に基づき、マイルストーンとして3百万ドル(約3.8億円)をTRACON社に支払うとしている。
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・参天製薬株式会社 ニュースリリース